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「ほら、授業終わったよ…」
声が聞こえた気がして顔を上げると、春の陽気に照らされた髪を肩先以上まで伸ばし、後ろで一つに纏めた女の子がいた。もちろん知らない人では無く、クラスの中で1番仲がいい浮洲 由紀だ。1年のときも同じクラスだったのでいつの間にか一緒に行動することが多くなった。もう少し寝ておきたいところだったが、由紀もきていることだし、体を起こした。
「ごめんね、昨日も寝れなかたの」
「ん。しょうがないよ…」
(やっぱり由紀は優しくて、温かいな)
人によっては冷たく感じるような言葉。だけど、私にとっては優しくあるんだ。それに由紀はしっかりとあれについて理解してくれている。そんなこともあって去年、お互いにコミュ力が高い方ではないが仲良くなれた。
由紀は私と違って、自ら1人を好む性格だった……と後から本人に聞いた。しかし、人一倍優しさや周りに気をかける能力が高かった。そんなこともあって比較的に時間もかからず仲良くなることができた。
「どうしたの?なんか思い詰めたような顔して…」
「いや、ちょっと夢を見ちゃってて。大したことないよ」
「そう…そろそろ準備しないと次の授業に遅れるよ…」
由紀は言葉の途中で私の席の前から離れ、自分の席へと向かった
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