<3・招待。>

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 ただ、リングではなくブレスレットやバッジの形態で申請している人は少しだけその危険度が下がる(大人になった時に邪魔になる問題はあるが)。そう言う人達を中心になるべくお願いして、子供が小さいうちから身に着けさせてもらったり、あるいは小さいうちからペア探しに積極的だった人の証言を集めたりということをしたそうだ。  その結果、一番早い子供は五歳十か月の時点でペアを発見していることがわかった。  つまり、遅くとも子供が五歳十か月になる頃には、将来の婚約者が決定しているということになるのである。 ――なるほど。大体五歳前後、って考えるのが妥当かな。  五歳頃になると、データベース上でAIがマッチングを開始して、その時点で出生している近い年齢の子供達の中から最適なペアを探し出す、ということをしているのではなかろうか。  無論あくまで“五歳前後”であって、実際はもっと早かったり遅かったりすることもあるのかもしれないが。 ――ペアリング法について、もっと詳しく知れば……抜け道を見つけることができるかもしれない。よし、考えてみよう。  ミコが一番結婚したい相手が勇気自身であることはわかっている。仮にミコが舞依とのペアを解消できたからといって、勇気がミコの想いに応えられるかは別問題だとわかっていた。ミコのことはけして嫌いではないしむしろ大好きだが、今まで恋愛対象としてまったく見てこなかった相手である。中途半端な気持ちで受け入れることは、かえって彼女への裏切りになってしまうことだろう。  何にせよ、勇気が受け入れるか否か以前に、このままではミコは友人との間に子供を作らない限り、二十五歳で殺されてしまうことになる。出会うことには成功しているから二十歳のボーダーラインは越えられるが、二十五歳になるのなんてあっという間だろう。  同性同士だからどちらかが性転換しなければならず(ちなみに調べたところ子供を作る機能だけできればいいので、下半身だけ性転換しても問題はないそうだ)、しかも子供を作る為のセックスもしなければいけない。恋愛対象ではない者同士では、苦行としか言いようがないだろう。性転換する側も、その子供を産む側も、一生の傷を負う結果になりかねない。
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