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ミコは大事な友達であり、幼馴染だ。なんとかしてやりたいという気持ちは日に日に強くなっていた。同時に、己もなるべく早くペアを見つけなければまずい、という気持ちも。
「ん?」
ぽろん、という軽やかな音がして、スマホがメールの着信を知らせた。誰だろうと思ってみれば、“大泉シンジ”という名前が。中学時代の友人の名前である。大柄で豪放磊落、中学から高校、大学、社会人とアメフト一筋で頑張っていた三年生の時のクラスメートだ。
『みんなちゅうもーく!三年四組の生徒で集まって同窓会をやることに決定したぞーい!(*´∀`*)キャッキャ』
相変わらずテンションの高い件名である。その顔文字は似合わないぞ、と勇気は苦笑しながらメールを開いた。
同窓会。懐かしいものである。三年生の時のクラスなのでようは受験生なのだが、勇気達が通っていた学校は文武両道で有名だった。三年生まで部活動をする生徒が殆どだったし、学校行事も盛りだくさんだったのである。おかげでスキマ時間に勉強するのが大変だった。シンジなどは要領が良い方ではなかったのでかなり苦労していたと知っている。数学死んでる、このままでは留年するうううう!と泣きつかれたのをよく覚えているのだ。
近況はメールやLINEで頻繁にやり取りしている。今回LINEではなくメールで回ってきたのは、当時まだガラケーだった生徒やLINEが嫌いでやっていない生徒が複数名いたからだろう。
同窓会。気分転換に、昔の友人達と逢うのも悪くない。特に、三年四組というクラスは贔屓目抜きでも良いクラスだったと思っている。あの子やあの子は今どうしているかな、なんていろんな顔を思い浮かべながら――勇気が思い出したのは、いつも窓際でぼんやりと外を眺めている少年の姿だった。
明るくてポジティブな友人が多かった勇気にとって、極めて珍しいタイプの友達だった彼。
楠朔夜。
少し長めの黒髪が綺麗な、いわゆるクールな美少年というやつだった彼。実は、クールというより超絶不思議クンだっただけなのだが。
彼も来るのだろうか。あまり社交的なタイプではなかったけれど。
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