<3・招待。>

4/5
前へ
/54ページ
次へ
 *** 「お前、来るのかよ!」  同窓会当日。  集まったのは、学校近くのカラオケ店だった。本来居酒屋なんかで集まる方がそれらしくはあるのだろうが、いかんせんまだ二十歳になっていないメンバーも多い。どういう経緯を辿ってか、高校時代に頻繁に通っていた者も多い老舗のカラオケ店でオールタイムをすることになったのだった。  それで、店に入って早々、勇気の第一声がこれである。  こいつは来ないんだろうな、と思っていた朔夜が普通に来ていた。しかも悔しいことに、高校時代より随分カッコよくなっているではないか。背はそんなに伸びていないが、雰囲気が大人っぽくなったとでも言えばいいのか。やや長い髪型も、やや目つきが悪いのも相変わらずだというのに。 「来ちゃいけなかったのか」  相変わらず平坦な声で返してくる朔夜。あかん、これは言葉通りに受け取った奴だ、と勇気は焦る。感情の起伏が少ない、何を考えているかよくわからない、イケメンなのにそれがもったいない――なんて言われることが多かった朔夜。実際は、ものすごくいろんなことを考えているのに表に出てこないだけ、というのを勇気はよく知っているのである。 「お前はこういう騒がしいの好きじゃないんだろうなと思ったんだよ!こら、言葉通りに受け取って落ち込むんじゃねえ!」 「……落ちこんでない」 「ものすっごくオドロ線見えてっからな?ごめんて」 「だから落ち込んでないと言ってる」  ああ、完全にすねてしまった。なんだかこのやりとりも懐かしくて、勇気はバンバンと朔夜の背中を叩く。見た目だけならば超美形なくせに(そしてモテていたくせに)、相変わらず面倒な性格をしている。だからこそ面白いのだが。 「はいはい。今な、ここのドリンクバーだとアイスが三種類期間限定でやってるらしいぜ。お前ここのアイス好きだっただろ、良かったな!」  勇気が言うと、わかりやすく朔夜の目がキラキラした。流石、勇気の“甘党仲間”である。中学時代二人でスイパラ巡りをしたのは懐かしい。女子みたい、なんて言われそうだったが、こういうのは仲間がいれば怖くもなんともないのである。ちなみに、いかにも“男!!!!”という暑苦しい見た目であるシンジも超甘党であり、彼も含めて男三人でデザートバイキングに繰り出したことも少なくなかった。なんとも楽しい思い出である。 「メロン味、ある?メロン食べたい……」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加