告白の日

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「本日、この教会に皆様がお集まりになり、こうしてテーブルを囲んでいることも全て神の思し召し」  時は深夜を回ったころ、ステンドグラスを介した月光が幻想的な表情を見せて、ここが厳かな神の御前(みまえ)であることを強調している。  チャペル内は月光以外に、燭台に灯された蝋燭の灯がその不規則な揺らめきを放っている。 「本日は特別な日。そのため、本日は懺悔ではなく告白と表します。今日この時、このチャペルで皆様がされる告白は、その内容がいかに不条理で、いかに残虐で、いかに罪深いことであっても、神はお赦しになります」  神父は大仰に両手を広げて、テーブルについている五人を見回した。 「小難しい挨拶は不要だ。それより早く告白を始めようぜ。俺は早く楽になりたいんだ」  テーブルについていた大柄の男性が、立ち上がり大きな声を上げた。 「それより、ここで話をしたことは絶対に外に漏れないのよね」 「ここで告白したら、罪に問われなくなるって本当なんですよね」  次々と上がる確認の質問に対して、神父は微笑みを絶やさぬままにゆっくりと口を開いた。 「はい、本日のこの特別な告白の日に皆様が告白された内容は絶対に世の中に出ることはなく、また告白することによって罪の咎は済んだこととなり、警察に捕まるようなことはございません。ただ……」  五人の参加者たちは神父の次の言葉を息を殺して待っている。 「皆様がルールを守って頂けていれば、ですけれどもね」  日本のどこかにある教会で不定期に行われる告白の日。そこで告白をすると罪を償ったことになり、殺人ですら捕まらなくなるという。
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