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「ということで、酒に酔っていたこともあって、俺はその場にいた三人を包丁で滅多刺しにして殺したんだ」
大柄の男性が告白をし終わり、これで五人全員の告白が終わった。
「これで全員の罪の告白が終わりました。では、皆さん、目の前のグラスに入ったワインを一息に飲み干してください」
五人の参加者は、各々の目の前に置かれていたワインを飲み干した。
「これで皆様は罪を償われ、良心の呵責に苛まれることも、警察に捕まることを恐れることも、家族や友人の信頼を裏切ることもなくなりました」
神父は五人に声をかける。しかし、その言葉に応えるものは一人としていなかった。
「ふん、お前が神父とは笑わせるよな」
「おや、いらしていたんですか」
「何せ今日は約束の日だからな」
テーブルの上の一本の蝋燭を挟むように置かれた鏡の中には、無限に蝋燭が並んでいる。その鏡の中で醜悪な笑みを浮かべている何か。
「お約束通り、百人分の魂、確かに献上しましたよ」
「ふん、確かに百人分頂いた」
「これで、私は悪魔の呪いの契約者になったということですね」
後ろめたいことがあるため、この教会に来たことを誰にも告げていない参加者たち。罪を償える、無かったことにできるために告白をし、毒入りと知らずにワインを飲み干した。
「ある意味、聖職者なのかも知れねぇな。コイツらは、もう恐れていたもの全てから解放されたしな。さて、お前に教える呪いはな……」
了
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