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今年も桜の季節がやって来た。私が動く季節が………………………
今宵も辻斬りが出る。
血が散る様は美しい。桜のように綺麗だから。桜が舞い散る様子をじっくりと見てみた。すると、風が吹き、ザァーと音が響き花びらが舞い上がっては地に落ちてゆく。それのなんと美しいことか………。私はその様子に魅了された。これをどうにかして再現できないかと……………。そして、思いついた。人で再現出来ると…………。
満月の夜は決して外へは出ては行けない。月と夜桜を背景に、辻斬りがやってくるからと。
しかし、何度やっても上手くいかない。桜のあの美しい様には決してならない。何がいけないのだろう…………。そう考え事をしていた。だから気が付かなかった。背後の影に…………。
桜を背負ってやってくる、名も知らぬ殺人鬼。
ああ、これが…………………。これが、私の求めていたもの。跳ねられた首が、空を舞って地に落ちていくのを見ながら私は意識を手放した………………。
桜の季節は気をつけて………。月と桜に惑わされ、切りゆくものがただ増える……………。
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