ずっと言えなかったこと

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 たった一つの告白もできないまま、私は呆気なく死んだ。  昔はどこにでもいる女の子だった。  趣味でボランティアしたり、家事は自分でやったり、正直自分でも真面目に生きてきたと思う。地味で真面目で冴えない。ある意味ではよくいるそんな高校生だった。  そして今、私は幽霊になって学校に浮かんでいる。  眩しすぎる近い太陽に照らされて私は啜り泣く。 「来栖さん交通事故だってねー」  キャハハと女子が高笑いする。廊下にいる皆がそんな感じに私の噂で持ちきり。 「バチが当たったんじゃね。親友をいじめたとか」  あははと隣のクラスだったはずの男子と女子。その他にもあちらこちらで生徒たちが楽しげに目引き袖引嘲笑う。  他人の不幸は蜜の味、ってか。顔がうっとりして楽しそう。 「ああ、あの噂、おっかないよね」 「なんか来栖が親友宛にコレがお前の嫌なところリストを作ったんだっけ」 「こわ陰湿ぅ」  違う。違うよ。  あれは武田さんたち派手グループが騒いでた内容を紙にまとめただけ。  このままじゃ早紀子がいじめられるよねって彼女たちが笑ってたから。 『私じゃないんだよ。私は、早紀子と違うクラスだから偶然聞いて忠告してあげようって……って、あ、聞こえないか……』  幼稚園からずっと親友だった早紀子。可愛いけれど鈍臭くて、天然で。それでも私は大好きで。まさか、あんな形で関係が壊れるとは思わなかった。
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