ずっと言えなかったこと

6/11
前へ
/11ページ
次へ
 伝えたかった。  私は早紀子が好きだよって。不器用な伝え方してごめんねって、  言い訳だと思われても言いたかった。私は早紀子が大好きだよって……!  死ぬ前に伝えたかった。またドリンクバーでに語りたかった。クレープも食べたかったよ!!  なのに。なんで。どうして。もう二度と話す事もできないの?  悔しくて涙が出ても、たとえ叫んでも、それすら普通の人には見えない聞こえない。  頭の中ではわかってたはずだ。  人は死んだら永遠に交流できない、って。  だけれどどこかで他人事だった。私には関係ないって思ってた。  いじめだってそうだ。ニュースで見るたびに、私には縁がない事だろうって。  実際は、こんなにも簡単に訪れて、全てを食べるように殺す。 「雪代くん、だっけ」 「早紀子さん?」 「なんで下の名前? あ……もしかしてミキがそこにいるとか?」 『そう! そうだよ! 早紀子!』  私は大声で叫んだ。 「そんなわけないか」 『あるんだよ!! ねぇ、雪代の体に憑依とかできないの!?』 「できない。ああ、そうだ。早紀子さん」  冷静な声で雪代は私に言ってから早紀子を見た。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加