8人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
3
「……初恋だったんだぞ、俺は」
「俺だって。萌香以上の女はいないよ」
「視野が狭いなぁ、雅也は」
そこで出入口側からドタドタと足音が近づいてくる。
「ああ、こんなところにいた！探したよ、みんな」
「樹！？」
楽しそうに手を振ってこちらへ近づいてきたのは満面の笑みの樹だ。
図体がやたらデカいのに人懐こい性格の優男。誰にでもフレンドリーな人気者だ。
「てめえ、よくもぬけぬけと！」
「俺達を笑いに来たのか？」
岳人と雅也は冷ややかな視線を樹に向けたが、竜は彼が1人なのが気になった。
「お前、萌香はどうしたの？」
「萌香ちゃんも君らを探してたんだよ？まだこっちにいたとはね。見つかって良かった」
ニカっと歯を見せて笑った樹は、一番近くにいた岳人の両脇に自らの両手を入れる。
それから勢いよく持ち上げた。
最初のコメントを投稿しよう！