幽霊は転生じゃない1

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幽霊は転生じゃない1

「さて、今日の議題は、これ!」 といいながら、黒板をバァン! と叩く高山さん。彼女は漫研の部長だ。 「異世界転生!」  他の部員たちが、「またか」「どんだけ」「飽きないな」などとつぶやく。  この学校の部活には、毎週月曜に先週の活動報告や、今週の目標を話し合う会議を行う習慣がある。  漫研でも、最初は会議らしきことをしていたと聞く。今は部員たちが交代で、推しの話をする時間になっていた。  普段は各自勝手に絵を描いたり、漫画を読んでいるので、全員が集まって話すのも悪くない。  高山さんが続ける。 「前は異世界の話だったけど、今度は転生よ!」  それを聞いて、前回の異世界論を思い返す。 『異世界といっても、小説やゲームが元のファンタジー世界だけじゃなく、現実の別世界といえるパラレルワールドや、天国、地獄といった死後の世界も――』とか何とか、やたらとくどく細かく説明をしていた。  またあれが繰り返されるのかと思うと、うんざりする。 「じゃあ、まず、この中で転生した記憶のある人、いる?」  部室の空気がザワッとする。 「部長! それは黒歴史なので、止めてください!」  白沢さんが、顔を赤くしながら挙手して告げた。 「ほう。くわしく?」 「い、言えません! 私の前世がアルデバラン星の継承権第一位の王女で、敵対する星のプリンスとの悲恋の果てに自害して転生したとか、絶対に秘密です!」 「なるほど。白沢さんの前世はアルデバラン星の継承権第一位の王女で、敵対する星のプリンスとの悲恋の果てに自害して転生した、と」 「な、なぜそれを!?」 「今、自分で」 「しまった!」  ぼくの隣の席の吉本くんが、小さな声で「コントかよ!」とつぶやいた。  白沢さんは、どこからか取り出したクッションに、顔を埋めてうめいている。 「他にも、転生した人、いる?」  高山さんが一同を見渡す。 <つづく>
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