拝啓、殺人鬼になった君へ

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手紙でやりとりなんていつぶりでしょうか。 こうして手紙を書いていると、昔のことを思い出してしまいます。 君は覚えていますか? よく、くだらないことをして大笑いしましたね。 君が引っ越すと言った時には大泣きして困らせてしまいました。ごめんなさい。 でも、困った顔をしている君が、とても可愛かったのを覚えています。 当時、連絡手段がなかった私たちは、お互いが大人になった時に笑って再開しようって、約束しましたよね。 君は忘れてしまいましたかね。 私は、その日が待ち遠しくて、毎日君の写真を見て、キラキラ光る未来を想像していました。 大人になった君がどんな顔をしているのか、何をしているのか、早く会って、知りたいことが山程ありました。 ですが、それは思わぬ形で知ることになってしまいました。 何気なくつけたテレビに君が映っていたのです。 すぐに君だとわかりましたよ。 子どもの頃に比べて少し、大人っぽくなりましたね。 私は、画面上でも君に会えてとても嬉しかったです。 でも、右上の見出しを読み、とても驚かされました。驚いた、なんて表現では表しきれないほど、驚いたんです。 それとともに、大きなショックを受けました。 どうやらもう、この世で再開することはできないようですね。 君が地獄へと行くのならば、私もついて行きます。 そこで、約束が果たされると信じて。                   敬具
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