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「トウマは同じ人生を繰り返しているってことだもんね……」
「まあ、主人公の選択によって物語が変わるので……完全なループとは違うんですけどね」
「完全なループって言葉、変だね」
「自分でも思います」
「ふふっ」
現世……日本で女子高生をやっていたときは、国居透真と何1つ接点がなかった。
そんな彼と笑いながら言葉を交わしているって、なんだか不思議な気分になってくる。
「ねえ、トウマは4人目の攻略キャラクターなんだよね?」
「ゲームの中では、そうなっているみたいですね」
国居透真は恋愛対象でもなんでもなかったけれど、トウマ・ルーファーは性格がいいと思う。
十分な恋愛対象になるとは思うけれど、元の暗くて地味な国居透真を知っている私の意識はなかなか恋愛に向いてくれない。
「っていうことは、トウマとの恋愛フラグも立てなきゃいけないってこと?」
「ついこの間まではクラスメイトだった俺と、恋ができますか?」
「できないね」
「ですよね」
『エンドレス・エタニティ』には各キャラクターごとに4つのルートが用意されている。
世界を救うことなく、キャラクターとの恋愛を成就させた場合はメリーバッドエンド。
世界を救って、キャラクターと結ばれなかった場合もメリーバッドエンド。
世界平和も恋愛も中途半端なかたちに終わると、バッドエンド。
「ということで、アルフレズとの恋愛フラグを立てるのを頑張ってください」
「……嫌だけど、報酬のために頑張る」
「お願いします」
そして、世界平和と恋愛を両立した人間だけが迎えることができる結末をハッピーエンディングと呼ぶ。
私とトウマが目指しているのは、このハッピーエンド。
(報酬は、何をもらおうかな……)
トウマが住んでいる屋敷に聖女として滞在している私は、どこかのご令嬢様が喜びそうな美しい花が咲き誇る庭を探索していた。
何が見つかるわけでも、何かと出会うわけでもないけど、1人で考えごとをするにはちょうどいい。
(人1人を異世界召喚できちゃう神能力を持つトウマなら、私を『エンドレス・エタニティ』の住人にすることも可能かな……)
別に、現実に帰りたくないわけではない。
でも、現実に帰りたい理由も見当たらない。
私が元の世界で誇れることと言ったら、超マイナーゲームの世界ランク1位を維持していること。
でも、その超マイナーゲームの世界ランク1位なんて称号は、私の未来の役になんて立ちもしない。
(マイナーゲームは、一生マイナーなんだよ……)
大会が開かれて、賞金が稼げるようになる見込みもない。
いつサービスが終わるかも分からないゲームで最強を誇っていたって、私の人生に加点してくれる人物は現れない。
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