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「なぁ、流星今日話したいことあるから、放課後少し残ってくれ」と親友の新城流星に声をかける
黒の自然なマッシュヘアに切長の瞳で高身長、スポーツ万能!学年に10位以内に常に入る、所謂モテ男だ。
けど、人関わるのがあまり好きじゃなくて、女子も好きじゃない。姉が凶暴すぎて苦労したことからあるらしい。
残念な奴だ。
そんなモテ男を呼び止めた俺はいたって平凡な高校生宇野宙だ。
小学生の頃からつるんでいてかなり仲がいい。まぁ、そのせいで女子に「代わりに渡しといて!」とチョコやらLINEのIDを渡されることが多い日々
緊張すると、ヤバいことになる俺はヒヤヒヤしてばかりだ。
「あぁ、わかった。けど、委員会終わってからでいいか?」と聞かれる
「え?今日委員会あるか?」と質問を質問で返してしまった
一応俺も委員会には入っており、今日はなかったはずだが…と思いながら問うと
「生徒会だよ…」と嫌そうな顔で流星は言った
「あぁ…」と嫌そうな顔の意味を理解した
流星は推薦で生徒会に入ったのだ。最初は断っていたが余りのしつこさに負け入ることにしたらしい
「わかった、待ってるから来てくれよな!」
と教室へ移動する流星を送った
今日の授業は全然集中できなかった
秘密を打ち明けたいとも思うのに、それで嫌われたらと思うと明かすのも怖い…
放課後が来ることに緊張していたからか、すぐに放課後は訪れてしまった
***
自分以外いない教室は昼間が嘘のように静かで、とても緊張する。
だが、校庭の方は部活のやっている生徒達の掛け声が騒がしい
(ヤバい、緊張で…)
秘密にしているアレが出てきそうになった
心臓の脈打つのがよく聞こえる
ドクン、ドクンとなる自分の鼓動にもビビってしまう
廊下からバタバタと騒がしく足音が聞こえてきた
(流星か!)
椅子から立ち上がると、案の定やってきたのは流星で、
「悪い、待たせたな。」と制服を少し乱し、やってきた
どうやら急いできてくれたようだ。
生徒会会議室と個々の教室は端と端で離れているのにも関わらず
(相変わらず、いい奴だな…)コイツになら打ち明けることができそうだ
「いいよ、わかってたし…まぁ、座ってくれ」と座るよう促すと、俺の前のやつの席に座った
(そこ女子の席だから、座ったの知られたら騒ぐだろうなぁ…)と考えていると、
「で、話ってなんだ?」と聞かれる
「俺さ、実は…」
心臓の音が普段より10倍近く早い気がする
「宇宙人なんだ!」ずっと家族以外知らないことを打ち明けた
反応が怖く俯いていると、
「知ってるけど。」と返ってきた
「知ってるけど。」「知ってるけど。」と頭の中を木霊する
(知ってるって、どう言う意味だっけ……)
理解するのに10秒かかり、
理解し終えた後、
「はぁぁ!?」と素っ頓狂な声を出してしまった
「だって、お前緊張すると猫の尻尾みたいなの出てるからな。」と平然とした顔で告げられる
「は?マジか!?」もしかしたら、他の奴らにもバレているのかも知れない…それで政府に告げられて、実験動物みたくなったら…と青ざめていると、
「気づいているの俺だけだからな。なるべく一緒にいて尻尾が出たら声かけてるからな。」机に膝をつき、顔を支えるよう左手を添えた
「そうだったのか…ありがとうな……」
「いいけど。てか、制服着てんのに尻尾出てくんの変だよな」と流星は笑った
「あぁ、変だろ?緊張とかすると出るんだけど、制服に穴空いているわけじゃないのに尻尾出るんだよ」と言うと流星は笑い、釣られて俺も笑った
「あーあ。なんか緊張して損したなぁ」と呟くと、
「緊張したのか?」と不思議そうな顔で聞かれた
あまり見ない不思議そうな顔が面白かったが、それは口に出さないでおいた
「んー、もしお前に嫌われたら嫌だなって思って…」と告げると、
「そんくらいで嫌うような、親友辞める奴は親友じゃねーよ。」と笑った
その笑顔を見て、人間ではないことを隠していた後ろめたい気持ちが消え、楽になった気がした
本当の、本当の親友になれた気がした
「なぁ、帰ろうぜ?今日秘密を打ち明けてくれたご褒美として、奢ってやるから飯食いに行こうぜ」
「マジ?ラッキーだな!」と荷物を纏め流星の後に続く。
自分達以外いない廊下を歩いていると、流星はいきなり止まり、
「実は俺も人間じゃないんだ。天狗と妖狐のハーフ」と悪戯が成功したような子供のように流星は笑った
「はあぁ〜〜!?!?」と俺の声が静かな廊下に響き渡った
まぁ、整った顔立ちに文武両道な、理由にも納得したのだったが。
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