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「理音、そろそろ着替えろよ」 「あ、おう」  俺が佐倉先輩と喋ってる間に、昂平は既に着替えが完了していた。昂平に言われて制服のボタンに手をかけたところ、じっと複数の視線を感じた。何かと思って後ろを見たら、部室に残っていたレギュラー陣が全員、着替えようとする俺を見ていた。 「な、なんだよお前らみんなして!キメェんだけど!」 「気にしないで。気にしないで理音」 「RIONの生着替えが見れるのはバレー部レギュラーだけの特権だからな、ホント気にするな」 「猫田先輩、早く着替えてくださいっ!」 こ、この…… 「変態部員どもっ!!減るから見んじゃねぇ!」  俺がキレるのと同時に、昂平が「そろそろ行かないと主将がキレますよー」と言いながらレギュラーたちを部室の外へと追い出してくれた。(主将だけは変態じゃない) みんなぶーぶー言いながらも、昂平に従って出ていく。その隙に俺はとっとと着替えた。モデルだから、早着替えは得意だ。 バタン 「!」 みんなと外に出たと思ってた昂平が、何故か戻ってきた。 「あ、しまったもう着替えてる。全員追い出してから俺一人で理音の生着替え堪能しようと思ってたのにな」 「一番の変態はエースかよッ!!」  なんてふざけたやりとりをするけど、ホントは知ってる。昂平が俺を助けてくれたこと。昔からそうだ。昂平はいつでも俺だけの正義のヒーロー。 高校生になってちょっと変態発言が増えてきたけど、まぁふざけてるだけだろう。 「今日は仕事あるのか?」 「ない。……だから放課後も部活出る。クラスまで迎えに来いよな、昴平」 「はいはい、お姫様」 「誰が姫だっ!」 部活に行くときはいつも昂平に迎えに来て貰っている。男子とはまあまあしゃべる方だけど、女子に対しては無口で仏頂面でデカイ昂平は、女子避けになるのだ。やっぱりモデルなんかをやってると、普通よりはモテるからな。せっかく部活に行けるのに、途中で捕まったらめんどくさいっつーか。  俺、別に女の子自体は嫌いじゃないんだけどさ。むしろ小さくて可愛くて好き。勃つことはないけど。エロ本以外では。 ……それって結構ヤバイんだろうか。 「ほら、行くぞ」 昂平が、俺にスッと手を差し出した。 「なんだよ、その手は」 「繋がないのか?」 「誰が繋ぐか!!つーかなんでだよ!!」 「理音が迷子になると思って……」 「どーゆー馬鹿の仕方だよ!!学校で迷子になるかッ!」 ホントは繋ぎたいし、昂平に触りたい。冗談でいいから、ほんの少しでも。 「我が儘なお姫様だな」 「どの辺で我が儘認定されたのかわかんねぇよ……」 昂平が笑う。ああ、昂平の全部が好きだ。 好きだ……。 胸が苦しい。
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