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 転機はいきなり訪れた。 『……モデルをやる?』 『うん。俺にできるかわかんないけど、面白そうだからチャレンジしてみようと思って』  高校に入学して一ヶ月が経った頃、理音がそう言った。美奈子さんに付き合って街で買い物をしていたときに、今のマネージャー、斎藤氏にモデルスカウトされたらしい。  俺は高校でもまたバレー部に勧誘されて入部して、理音も俺にくっつくようにしてバレー部に入ってきた。もちろん、 『べ、別に昂平と一緒がいいわけじゃねーから!俺もバレーが好きなだけだから!!勘違いすんなよ!』 という、いつも通り可愛くない(いや、可愛い?)ことを言って。  想いを伝えることはできなくても、理音は理音の意志で、ずっとこんな風に俺についてきてくれるんじゃないだろうか。俺と同じように、理音も俺のそばが一番居心地がいいと思ってくれてるんじゃないだろうか。 ……勝手に、そう思っていた。 『部活、辞めるのか?』 『ううん、あんまり来れなくはなるだろうけど、朝練はちゃんと参加する!それに俺、バレーは嫌いじゃないけどヘタクソで万年補欠だから……、なんか他にも自分がやれること、見つけたいと思って』 理音が、俺から離れていく? かつては自分から突き離そうとしていたくせに、理音が離れようとしたら傷付くなんて、俺はどんだけ勝手なんだろう。そんな俺に反対する権利なんてなかった。 『応援……する。頑張れよ、理音』 『おう。雑誌に載ったら見ろよな!つーか買え!』  それから理音は、少しずつ変わっていった。中身や性格じゃなくて、主に容姿が。もともと綺麗な顔立ちをしていたけど、プロの手によって磨かれた理音は、驚くほど妖艶な美少年になった。 ――これが、俺の幼なじみの理音?  コンビニに普通に並べられている男性向けファッション誌の中で、髪を整えられ化粧を施されて、お洒落な服を身に纏っている別人のような理音──いやRIONを、信じられない思いで俺は小一時間ほど見つめていた。
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