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*  今日も俺の理音は可愛い。いや、いつもの100倍くらい可愛い!!いつもはしないピアスやグラサンなんかを掛けて……ホントにもう、俺を萌え殺す気なんだろうか。いい加減にしろ! 「なあ理音、手を繋いで行かないか?」 「は?やだよ。人見てんじゃん。ラブラブすんのは宇佐木たちと合流してからだっつーの!」 「……」  一時期は手を繋ぐどころか外でキスもしてくれたのに……最近ちょっとツンが復活してないか?まあどんな理音も可愛いからいいんだけどな。  だって宇佐木達と合流したら、外で手を繋ごうが腰に手を回そうがキスしようが尻を撫でまわそうが全部オールオッケーということだよな? な?  あー早く着かないか遊園地!むしろそっちから来い遊園地!! *  電車に揺られること30分、それからバスに乗り継ぎ10分。少し歩いて……遊園地に着いた。入口には既に千歳と宇佐木が並んで立っていた。二人とも背が高くてイケメンだから(おまけに片方は有名人だし)ジロジロ見られている。(とはいえ宇佐木は俺と同レベルだけどな) 「千歳くーんっ、宇佐木!」 「よっ、RIONに昂平!」 「待った?」 「いや、今来たトコ」  なんか千歳と理音の会話、待ち合わせしてたカップルみたいだな……。俺と理音もデカイから、デカイ男が4人も揃ってますます注目を浴びている。子どもとかが超見てる。 「ようわんこ。お前にしては珍しくカッコイイ服着てんじゃん」  胸元を大きく開けて、アクセサリーを多めに付けた宇佐木が俺に話しかけてきた。 「ふふん。理音が選んでくれたからなっ!」  鼻息荒く自慢した。てか『お前にしては』って、俺がすごくダサいヤツみたいじゃないか!基本的に服にこだわりは無いから、理音から譲り受けることも結構ある。クリスマスプレゼントとか、誕生日プレゼントとかな。 「あ、やっぱり。てかそれ前にシンジがモデルで着てたやつの色違いじゃねえ?」 「なに!?」 「よくわかったなー葵!けっこー前にモデルしてたヤツなのに」  耳聡い千歳が俺達の会話に混じってきた。ま、マジか……いや、別にどうとも思わないが……千歳がモデルをしていようと、理音は俺に似合うと思って選んでくれたんだし! 「そうだったっけ?」  当の理音はキョトン、としている。 「RION、知らずに昂平に選んであげたのか」 「ごめん、だって千歳くん俺よりよっぽど仕事してるから、ポスターとかもたくさんあってどんな服着てたのかなんて覚えてないよー」  モデル仲間の理音が覚えていなかったのに、自分が覚えていたことで宇佐木は一人赤くなっている。それを見て千歳が萌えている。 やっぱり今からでも別々にデートした方がいいんじゃないか!?なあ!! 「却下。じゃ、行こうぜーっ」  理音、お前いつから俺の心が読めるようになったんだ!? 理音から無料の入場券2枚を受け取った千歳が、チケット売り場でまとめて四人分を払ってきた。こういうのは一番年上のヤツに任せるに限る。 「はい、フリーパスバンド。全員ちゃんと手首に巻いとけよー」 「ありがと千歳くん」 「ありがと、シンジ」 「サンキュー、千歳」 最後に俺が受け取る。が、その際に何故か俺だけ…… 「ちゃんと自分で巻けるか~?昂平」 「ま、巻けるに決まってるだろ……」 ガキ扱いされた。千歳め、俺のこと馬鹿だと思ってるだろ、絶対。うーんでも、年とか関係なしに千歳はなんか兄貴っぽい……やたらと面倒見が良いというかなんというか。  理音が、千歳が兄貴みたいだって言ってたのがなんか分かる気がする。 「じゃあ最初何から乗る?」 宇佐木が全員に聞いた。 「やっぱ絶叫マシーンだろ!すぐ乗れるし」 理音が言って、特に反対する者はいなかった。なんかわくわくしてきたな……!絶叫マシーンとか何年ぶりに乗るだろうか。中学の修学旅行以来じゃないか?部活が忙しくて、なかなかこういうところは来れないしな。 すると。 「ん?」 いきなり左手に柔らかな感触がして、見てみると…… 「り、理音!?」 な、な、なんと理音が、俺の手をにぎってる(※繋いでる)でわないかーッッ!?!? ええええええ!! こんな、こんな序盤にデレるのか!? 早すぎやしないか!? いや嬉しいけど!! 「ゆ、遊園地着いたら手ぇ繋ぐって約束したろ……」 なんて言い訳するみたいに言うけど、そんな真っ赤な顔で言われたら今すぐ襲いたくなるじゃないか!! あと別に約束はしてないぞ!! 律儀だな理音!! 「か、勘違いすんなよ!これはあくまで千歳くんと宇佐木をラブラブにさせるための作戦なんだからな、お前も協力しろよ」 「俺は何をすればいい?今すぐ抱きしめたらいいのか?」 「い、今やれってわけじゃねぇよ!」 ああああ~理音が可愛い、可愛すぎる!!千歳と宇佐木をくっつける作戦なんて俺には心の底からどうでもいいけど、それを理由に理音がくっついてきてくれるならもうこの二人には一生くっつかないでほしいな!! ……なんて言ったら理音が怒るだろうから、勿論思うだけにしておく。
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