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今週の半ばあたりに、理音くんに遊園地に誘われた。しかも、理音くんと俺とワンコとシンジの4人で、と……。
理音くんは言わなかったけど、俺はなんとなく気付いていた。シンジが俺が断れないように、理音くんから誘わせたってコトに。
シンジからの直接の誘いだったら、色んな理由を付けて昼間に遊ぶのは断ってきた。だって昼間から二人で遊んで、そういう雰囲気になってホテルに入るところとか、誰に見られるか分かったもんじゃないし。(そういう雰囲気にならなきゃいいんだけど、無理)
シンジは俺に予告なしにキスしてきたりするから……。
最近はCMとかにもちょこちょこ出たりしてるのに、男とこんな関係だなんて知られたらスキャンダルもいいとこだろう。別に俺自身は何を言われたって構わないけど。もうちょっと気を付けるべきじゃないのか?
――それに、所詮俺は遊び相手だ。本気になったら負け。あとから泣きを見るに決まってる。
まあ、俺は泣かないけどね……。
それにしても。
何でさっきから理音くんとワンコはあんなにラブラブしてるんだ?理音くん、いつものツンはどうしたの?デレ全開で、それに対するわんこがいつもの数倍気持ち悪いんだけど……。遊園地に来てテンション上がってるのかな。
「ん?」
俺の右手にもなんか違和感が……。ちらりと違和感の正体を探ると、予想通りというかなんというか。
「葵ー、俺達も手ぇつなごうぜ?」
「……」
隣でシンジがニコニコして俺にそう言った。こんな昼間の人が多い場所で、何考えてんだアンタ。5秒だけ許して、俺は思いっきり振り払った。
「葵、つれない!」
「昼間はやめましょう、昼間は。ていうか理音くんはそれなりに変装してるけど、アンタ千歳シンジ全開じゃねーか!バレたらどーすんだ、つーかバレるわ!!普通にバレてるわ!!」
「わかったよ……バレなきゃいいんだな?」
シンジはジャケットの裏から黒いサングラスを取り出すと、掛けた。その姿はとても現役高校生には見えない。
「………ッ」
そして声にならないほどカッコイイ。ちくしょう、ホントにモデルってズルイな……。
「ね、これなら俺だって分かんないでしょ?」
「……ファンなら気付くと思うけど。せめてそのオーラをさ……」
キラキライケメンオーラをなんとかしてくれ。俺はいつもこれに当てられて、誘われると簡単に足開いちゃうんだけどさ。
「んなこと言われてもどうしたらいいかわかんねーし、葵が気にしなきゃいいんじゃない?」
「俺はいいけど、アンタはちょっと気にしてください。仕事減るよ?」
「いーよ別に、そしたら葵と居られる時間が増えるじゃん」
「……」
どこまで本気で言ってるんだろうか。いや、全部本気じゃない可能性だってあるよな。でも世間にバレたらヤバいのは事実だし……
ああ、わかんねぇ。
「千歳くんたちー早くー!」
「あ、ごめんRION!……行こ、葵」
手は振り払われるからなのか、今度はさりげなく腰を抱いてきた。一瞬ドキッとしたけど、するりとその手から逃れた。ある意味手を繋ぐよりキワドいだろ!!
「シンジ、俺の言ったこと聞いてた?」
「いいじゃん、今日くらい」
今日だけじゃねーじゃん、アンタ。まあいつもは夜だから、俺も逃げないけどさ……。
「早く乗らないと全部回りきれないよー!」
「え、RION乗り物全部制覇するつもりでいるのか?ほんと見かけによらずアクティブだよな~」
理音くんは今日わんことラブラブするためか知らないけど、ちゃんと変装してる。それも女の子みたいに。背は高いけど身体のラインを隠してるから、パッと見じゃ絶対に男だとは分かんない。
ホントにモデルって凄いよなー……理音くんは、なんでわんこなんかが好きなのかな?(暴言)
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