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「うおおおお……!!」 「あっははははー!!サイコー!!」 久しぶりに乗るジェットコースターは恐かったけど、なかなか楽しくもあって、どこか鬱屈した俺の気持ちを少し回復してくれた。(ちなみに一番楽しんでたのは、言い出しっぺの理音くんだ) ……ま、身バレに関してはシンジ本人が気にしてないんだから、俺も気にしなきゃいいんだけどさ。スキャンダルになったって自業自得だろ。自分でリスクを避けようとしないシンジがおかしいんだ。  ジェットコースターの途中どこかにカメラがあったみたいで、早々と現像された写真を見て理音くんとわんこがはしゃいでいる。俺達は四人ともばっちり写っていた。 「あっはっは、昂平めっちゃ目ぇ見開いてるー!おもしれー顔!」 「理音は爆笑してるな……恐くなかったのか?」 「全然!もっかい乗りたいけど、他のも乗らなきゃいけないしな~」 ……うん、俺はちょっと下向いてるけど、ちゃんと笑ってる、よかった。シンジと理音くんは、こんな爆笑してる写真でさえもモデル然としている……天然のイケメンすげえ。わんこの顔はメチャクチャウケる。恐怖に引き攣ってんじゃねえか! 「俺、この写真買ってくるからみんなちょっと待ってて」 「あ、じゃあ俺も記念に買おうかな……昂平と葵はどうする?」 理音くんとシンジはこの写真を買うらしい。俺は…… 「うーん……いいや、俺下向いてるし」 「俺は理音が買うならいつでも見に行けるからいい」 「そっか、じゃあちょっと待ってて」 写真なんていらない。だってあとから見返したときに、絶対空しくなるだろ……。 「よしっ、じゃあ次はどこ行く!?」 「ホラ―ハウスだ」 え、なんだって?わんこ。 「は?」 「ホラ―ハウスだ、理音」 「……」 それって……お化け屋敷のことか?この遊園地のお化け屋敷って、結構恐いって評判だったような。 「いいな!よし、ホラ―ハウス行こうぜ!」 「え、ええ~マジでぇ!?千歳くん。俺、ホラ―系はかなり苦手なんだけど……」 「じゃあなおさら楽しいって!大丈夫、昂平に守ってもらえよRION!」 「ええええ……!?」  ぷっ、理音くん、すごい不安げな顔してる。かわいい~。 「うさぎどんはホラーとか平気か?」 「え?好きか嫌いかで言ったら、嫌いだけど」 だけどみんなが入るって言ってるのに、一人だけ外で待ってる選択肢はない。俺の答えに、ワンコとシンジは『よっしゃあ!』とでも言ってるかのように目配せしあっている。お前ら……魂胆が見え見えだよ。 ホラーハウスの前はほどよく人が並んでいて、待ち時間は40分程だった。並んでいるのはほとんどが恋人同士だったけど、中には中学生の男女のグループや、俺達と同じ高校生っぽい奴らもチラホラと見かけた。まあ、100%ゲイで構成されてるのは俺たちのグループくらいかな……。 「え、四人で入るんじゃねぇの!?」 「「いやいや理音(RION)、それはないだろ」」 「なんでぇ!?」 四人で入ろうとしていた理音くんに対して、声を揃えて否定するタチ二人……こんな時だけ協力すんなよ。もちろん俺は理音くんの味方だけど。 「みんなで入った方が恐くないだろ。俺も四人で入るのに賛成だ」 「宇佐木ぃ……だよな!!」 暗がりで二人とか、何されるか分かったもんじゃないし。ていうかフラグ立ちすぎだろ。オバケ役に見られながらヤらしいことされまくるんだろ。主に理音くんが、馬鹿ワンコに。 「俺は全っ然恐くないぞ!」 「俺も恐くないなぁ~」 「お前らは恐くなくても、俺と理音くんは恐いんだよ!」 それなら四人でワイワイ入った方がいいに決まってる!理音くんも俺の言葉に激しく頷いていた。 が、しかし。 「あれ?でもこのホラーハウス、入場は家族以外は1グループ3人までになってるぞ。はは、お子様や心臓の弱い方は入場をご遠慮くださいって書いてる。相当恐いんだろうな」 わんこが目敏く看板の注意書きを見つけた。なんてこったい。 * 「ギャアアアア――!!!!!」 「落ち着け理音、全部作り物だ「ンギャァァァァ――!!!!」 先に行ったわんこ&理音くんペアの行き先から、とんでもない悲鳴が聞こえてくる。入ったばかりだからかわんこのツッコミも聞こえてきた。 理音くんのものすごい悲鳴に、係の人もちょっと苦笑している。理音くん、絶対泣いてるんだろうな……ホラー苦手ってマジだったんだ。てか、中はそんなに恐いのか!? 「ははっ、RIONメチャメチャ恐がってるな~。昂平はオバケよりもRIONに夢中だな!」 「いや理音くんよりオバケに夢中だったらそれはそれで恐いから……」 「まあ、ホラーだよな」 入場待ち中、理音くんのあの悲鳴を聞いてもシンジは顔色一つ変えない。(笑ってはいるけど)俺は内心かなりビビってるというのに……。 あれか?演技か?? いや……そんな風には見えないな、悔しい。 「それでは次のお客様、どうぞ。行ってらっしゃいませー」 係員の女の人に促されて、俺とシンジも続いて中に入った。
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