プロローグ

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プロローグ

 口は災いのもと。言わぬが花。沈黙は金。  沈黙に勝るものはないと先人はよくわかっていたのだろう。目にも止まらぬ速さで流れていく景色を眺めながら、そんなことを思った。  車窓を流れる景色は、ビデオの巻き戻しのように不自然な速度で文明を失っていく。高層ビルが減っていくにつれて、空白を埋めるかのように緑の割合が増えた。緑が増えるごとにため息は一層深くなった。  どれもこれも自分の間抜けが招いたことだとよくわかっている。成長したつもりでも、結局私はあの日から何も変わってはいなかったのだろう。本音を言えば、運が悪かった、と言い訳したい気持ちもある。だが、不用意な発言で馬鹿を見る人間はたくさんいる。そのどれを見ても不運というよりは、ただ愚かであるだけに思える。だからきっと私も、ただの愚か者の一人に過ぎないのだろう。  あるときは、偉そうなタレントが偏向的な持論を――まあ、倫理観や大衆への配慮というものを無視すればそれほど的外れな持論でもなかったと個人的には思うのだが――とにかく、そういうことをテレビで大々的に語っていた。当然のようにそのタレントは謝罪の言葉を最後に人々の前から姿を消した。  またあるときには、貿易関係の悪化のせいで、スーパーからトイレットペーパーが消えるとインターネットに書き込んだやつがいた。そいつはほんの数日で有志によって特定され、日本国民から総叩きにあっていた。会社もクビになったと何かで見たような気もする。  その手の話で一番記憶に新しいもので言えば、日本人だけに発症する遺伝子病を発見したと発表したどこかの偉い医者の件だろう。ほんの短い間日本中に不安が広がり、あわや暴動かと危ぶまれもしたが、結局のところすぐに政府から正式にそんな病気は存在しないと発表され、すぐに混乱は鎮火された。医者は出来心だったと罵声の中深々と頭を下げていた。医者の名前すら思い出せない。いや、そもそも右から左で聞いてすらいなかったかもしれない。それなのに、その医者が毛量の多めな黒髪をしっかりとジェルで固め、凛とした面持ちで謝罪をする姿は、その状況に不釣合いに精悍でやけに印象に残った。それでも、その医者が居場所を失い職も失ったことは疑いようがない。頭が良いはずの医者ですらもこのざまだ。  雉も鳴かずば撃たれまい、とそんな愚か者たちに過去の自分を投影しながら生きてきた。  かつては確かに深い傷として刻み込まれていたはずの記憶は時間とともに風化し、わずかな痒みだけを残す古傷に成り果てている。結果として、決心と呼ぶにはあまりに鈍く、楔と呼ぶには柔らか過ぎる、そんな中途半端な思いだけが残ってしまった。だからこんなことになる。  ギャーギャーと耳障りな声が、始業前の眠気の抜けきっていない頭に突き刺さった。  少し早めに目が覚めたので、今日はいつもより早めに家を出た。それが失敗だった。 「だからね、日本の男性は遅れてるのよ。海外の男性はもっと女性を大切に扱うものなの。それなのに日本の男ときたら、頼りないくせに要求だけは一人前で、紳士の風上にもおけないわ。それにうちの会社もダメ。もっと女性にとって働きやすい環境にしないといけないのよ」  我が社の名物お局様が、やけにきつい香水の匂いに乗せて唾を飛ばしている。  昨日インターネット経由で出会った男の態度が気に入らなかったらしく、ずっとこの調子で、各方面に怒りを飛び火させつつ喚き散らし続けていた。相手がお局を見た瞬間にエスコートをする気がなくなった可能性や、自分が先に相手を不快にした可能性を一切考慮していない点がなんともお局らしかった。  そんなお局もやっと、ほかの人の意見を聞く気になったのか、上気した顔を私の同僚である只野に向け、「只野くんもそう思うわよね?」と上目遣いの猫なで声を発した。入社三年目、脂の乗った若いイケメンを手に入れてやろうという、醜い炎が目に宿っていた。その目と声が自分に向けられなくて心底良かったと安堵する。今後も向けられることはないのだろうが。  只野は整った顔を、困ったように歪めながら、頭を掻いた。固く短い毛髪が手に押しのけられ、シャリシャリと小気味良い音を立てる。 「そう言われましても、ここは日本ですし、その男性を実際に見たわけではないので、僕からは何とも。それに、うちの会社は、割と女性の働きやすさという点では整っている方かと思うのですが」  只野が正論の刃でお局を突き刺した。お局は自分が死んだことにすら気づいていないのか、先ほどの甘えたような顔を瞬時に真っ赤に染め、捲し立て始めた。キーキーと不快な高音に、私は気づかれない程度に顔をしかめた。  壁を作るように両手を前に出し、困ったように眉毛を下げた只野と目が合い、「助けてくれ」とでも言いたげな視線を向けられる。 いらぬことを言わなければ、今頃お局も納得して、「代わりに只野くんがどこか連れて行ってー」とでも話が変わっていただろうに、不器用というか、おバカというか。もしかしたら、誘われないためにわざとしているのかもしれない、という予想が頭の片隅に浮かんだが、あの顔を見る限りそういうわけでもなさそうだ。  只野には悪いが今私にできることはなかった。横から口を出してもろくなことにならないことは火を見るより明らかだ。私は小さく肩をすくめて助けられないという意思を只野に伝えた。只野は恨めしげにこちらを見たが、何も言わずお局に向き直った。  間の抜けたベルの音が、部屋の上部に付けられたスピーカーから流れる。  お局も、只野も、私も、ほかの存在感を消していた社員たちも条件反射のように一斉に立ち上がり、整列を始めた。只野はほのかに安堵の表情を浮かべている。  スピーカーからは機械的な女性の声で朝礼の開始が告げられた。 「おはようござまいす。本日の朝礼を開始します。全体への周知事項です。本日、四階は点検作業の為、断水となります。お気をつけください。本日、営業二課は新製品発表会に参加のため不在です。御用の方は二課部長の個人用携帯電話までご連絡をお願いします。続きまして――」  自分たちには関係のない周知事項が延々とアナウンスされる。四階は役員が使う階で企画開発部の自分たちには関係がないし、営業二課に用があるときは言われなくても部長の携帯に連絡を入れることが常だ。その後、部長が部下に仕事を割り振る。その後のアナウンスもこちらに関係のあるものは何もなかった。無駄だからやめてしまえばいいのにと常々思う。言わないが。 「最後に、専務からの連絡事項です。最近、勤務態度の悪い社員の姿が目立つので、今後そういった社員を発見した際には、室長と協議の上、罰則を与えるとのことです。これに伴い、小杉室長はクレーム対策室室長と内部監査室室長を兼任することになります。連絡事項は以上になります」  最後の最後に出てきた不穏なアナウンスに小さなざわめきが広がる。機械的にアナウンスを読み上げていた声にも、隠しきれない怒りや不満がほんのわずかに滲み出していた。  私が勤める・セレモニー・ホールディングスは現社長が一代で築き上げた、葬儀の取りまとめや実施から、関連商品開発、販売までを手がける、葬儀関係のトータルソリューションを提供する会社だ。「個人と遺族の、これまでとこれからに寄り添って」を経営理念として掲げ、国内シェアは圧倒的なトップ。ときにはそのことを揶揄して、うちを怒らせたら死体が腐るとまで言われる。  当然、実際はそんなことがあるわけもなく、ほとんど全社員が、社長の考えに賛同し、全力で仕事に取り組んでいる。どんな故人が相手でも、迅速に丁寧に、が基本だ。亡くなられた方を最後に見送ることや、遺族の悲しみを和らげる助けができる素晴らしい仕事だとほとんどの社員が本気で思っている。  その「ほとんど」から漏れた異分子が刈谷と小杉という存在だった。  刈谷専務。うちの会社のナンバーツー。  刈谷は頭の禿げ上がった小柄なデブで、いつも取り巻きのひょろ長ハゲの小杉を後ろに控えさせている。トイレの個室にも一緒に入るのではないかと社員の間ではもっぱらの噂だった。  こいつらがかなり厄介者で、自分が関わる大口の葬儀でピンハネは当たり前。旦那を亡くした遺族にセクハラまがいの行為。部下へのパワハラ。その他もろもろ、考えうる嫌な役員というものを想像すれば刈谷が出来上がる。一方で小杉は横で延々とおべっかを使っている。  小杉は自分の身長が刈谷より高いことを目立たなくするためか、いつでもお辞儀をしているのではないかというほどの角度で腰を曲げている。その気遣いをどうして遺族の方々に向けられないのかと、頭をひっぱたきたい衝動に何度駆られたことか。  当然、このふたりは社内の嫌われ者で、社員からは精一杯の侮蔑を込めて影では「ハゲ階段」と呼ばれている。  だが、このハゲ階段は悪知恵だけは働くようで、役員室の最上階への移転から始まり、社内通報制度の専務管轄化、小杉のクレーム対策室室長就任と、瞬く間にこいつらの悪事が社長の耳に入る機会は奪われてしまった。かつては、各部署に頻繁に顔を出していた社長もいつしか社員の前にほとんど顔を出さなくなっていた。おそらくは刈谷の策略だろうというのが社員の総意だった。  そのハゲ階段が今度は内部監査を始め、罰まで加えるというのだ。罰を受けるべき人間が、裁く側に回る。不穏な空気をこの状況から感じない人間はいないだろう。社員たちのざわめきも当然のことだった。  そうは言っても、私にできることはない。今私にできることは、目の前の仕事を黙々と進めることだけだ。ほかの人も同じ考えなのだろう。ざわめきも数分の後に収まり、各自が自分のデスクで仕事を始めた。漂う空気以外はいつも通りの風景だった。 「それにしたって助け舟くらい出してくれても良かったんじゃないか、」  只野が不満顔をこちらに向けている。朝礼前に、お局に捕まった只野を見捨てたことへの文句を受けているところだった。  早めに昼休みを切り上げて、午後の仕事に取り掛かるつもりが、トイレで只野に捕まってしまった。そのままトイレで雑談という女子高生のような状態になってしまい、今に至る。  三階は企画部とデザイン課と物品庫しかなく、男性の数が極めて少ない。さらに、今日は会議や休暇の関係で、三階にいる男性は私と只野だけだった。自然と二人共砕けた口調になった。 「そんなこと言われても、あの状況をどうにかするのは無理だろ。お前も最初に捕まっちまったのはお気の毒だけど、その後はハイハイ言っておけばもっと楽に済んだだろうに」  肩をすくめながら、自分は悪くないという意思表示をする。只野は呆れ顔を浮かべた。 「出たよ、白坂の事なかれ主義。大人というか、ドライと言うか。全くつまらない生き方だねえ。無言はノーの代わりにはならねんだぞ」  自分としては事なかれ主義とは、若干ニュアンスが違うものだと思うのだが、うまく伝えることもできそうにないので諦めて、苦笑いを浮かべるにとどめた。  只野は急に真剣な表情を作ると、先程までとは違った声色で続ける。 「だからなんとも思わないのか?」  確かめるような、伺うような声だった。  瞬時に刈谷たちの事を言っているのだと理解した。  あまりにも失礼な言い草に、一瞬頭にカッと血が上る。だが、怒りはすぐに沈んでいった。考えてみれば、只野がそう思うのも当然のことだろう。  ハゲ階段に対しても、私は只野の言うところの「事なかれ主義」を貫いていた。ハゲ階段に相対する社員を助けることはもちろん、裏で悪態をつくことすら私はしてこなかった。表で抗うことはおろか、裏で意思を統一することすらもしていない。そう思われることはあまりに自然だった。むしろ誰もいないトイレで伺うように聞いてくれたことは、只野の優しさで、信頼なのだとわかった。だからこそ、らしくもなく心の内を少しだけ言いたくなってしまった。  小さく息を吸い込み、重い口を開いた。 「何も思ってないわけないだろう。俺だって、社長のやり方に賛同してここまでやってきたんだ。やりがいだって感じてる。仕事も精一杯やってきた。だから、俺だって当然許せないって思ってる。でも俺はそれを口に出して言いたくはないんだ。何をふざけたことをって思うかもしれないけどこれを曲げる気はない。悪いけど」  慣れない心情の吐露は、まるで胃の中のものを吐き出すように一気に行われた。マラソンでも走ってきたのかと疑いたくなるほどに、心臓は早鐘を打っている。ここまでの気合を入れて出た言葉が結局は、私は何も言いません、という宣言なのだから、只野もさぞ呆れていることだろう。やはり、これならば何も言わない方が良かった。そんなことを思いながら、恐る恐る只野の顔に視線を上げた。  只野は今にも泣き出すのではないかといった顔で私を見つめていた。驚く私に近づき、ガッチリと手を握ってきた。 「何が悪いだ! その言葉が聞けただけで十分だ。お前が誠実に仕事をしているのは俺だってわかってる。疑うようなことを言って悪かった。お前が敵じゃないならそれでいいんだ」 「さっきも言ったけど何の協力もできないぞ」  私は只野の圧力に押されながら言った。 「そんなのは、得意な俺とかに任せとけばいいんだ。ダチのお前が味方だってことが俺には重要なんだよ」  只野の熱い言葉と視線に、胸が痛んだ。自分なんかのためにここまで言ってくれる友人がいることが申し訳なかった。  只野は私のそんな心情を察したのか、さらに続けた。 「そんな顔すんなって。あのハゲ階段のことは俺が何とかしてみせる。お前もできることがあったら手伝ってくれよ」  只野が優しく、私の肩を叩く。私はなんとか小さく笑い言葉を返した。 「わかった。ハゲ階段のことは任すよ。迷惑ばっかりかけて悪いな」  私の言葉を聞くと、只野は「おう!」と爽やかに笑った。 ――水の流れる音が聞こえた。  音はトイレの個室から流れてきている。  只野の笑顔が凍りつく。  他に人が居るはずがないという先入観で、誰かが個室を使っているという可能性すらも頭になかった。  すぐ隣から、只野の生唾を飲み込む音が聞こえた。最悪の可能性、そして一番高い可能性が頭をよぎる。  今日の朝礼では何と言っていただろう。自分には関係がないと聞き流していたが、四階は断水しているのではなかったか。ということは、四階のトイレは使えないのだろう。自分のいるフロアでトイレが使えなかった場合、自分ならどうするか。一つ上か、一つ下のフロアに行く――もちろん、上のフロアがあればの話だ。四階は役員専用のフロアで最上階。そしてほとんどの役員は忙しく、外出していることが多い。そう、ほとんどの役員は。  金属が軋む不快な音を鳴らしながら、個室の戸がゆっくりと開いていく。スローモーションかと思うほどに緩慢に開いた戸の向こう側には、禿げ上がった頭を真っ赤に変色させた刈谷が、頬をヒクつかせながら立っていた。  刈谷は口の端を吊り上げるようにして笑顔を作り、怒りを隠しきれていない声で言った。 「楽しそうで何より」  それだけ言うと、刈谷は手も洗わずにトイレを後にした。  只野の声がやけに遠くから聞こえるが、内容は頭に入って来なかった。  流石に小杉もトイレにはついて来ないんだな、などと呑気な感想だけが頭に浮かんだ。  それからは早かった。次の日には会社の掲示板には辞令が貼られ、私と只野に転勤が命じられた。つまり左遷だ。只野は人口一万人程度の小さなエリアの支店への移動を命じられた。年に一度仕事があればいい方だろう。実際のところ、自主退職を促す死刑宣告に等しかった。  だが、どうやら只野は諦めなかった。人事部に掛け合い、なんとか社長に面会をしようとした。その結果、社内は只野派と刈谷派間での戦争が始まっており、終戦までは只野の転勤は見送られることとなった。  戦争とは言っても、もちろん対等なものではない。ハゲ階段は人数こそ少ないながらも、得意の謀略を駆使して、罪のもみ消しから、逆に只野の罪の捏造とやりたい放題だ。この戦争に負ければ、只野は自主退職どころか、懲戒免職は免れないだろう。唯一の希望と言えば社長だろうが、社長が戻ってきたところで、あれだけの証拠を突きつけられてしまったらどうしようもない可能性もある。只野はまた鳴いてしまったのだな、と思わずにいられなかった。  一方で私はといえば、聞いたこともない村の、聞いたこともない支店への配属を命じられていた。人工は二、三十人程度。十年に一度仕事があればいいほうだろう。失言の量と質に比べて、罰が重いような気もするが、実質の死刑宣告という意味では只野と大差はない。  只野からは嗚咽混じりの深い謝罪とともに、一緒に戦おうと誘われた。もちろん、私は決して首を縦には振らなかった。一度犯してしまった過ちをもう一度犯すつもりはなかった。正確に言えば、二度犯した過ちだ。これ以上むやみに口を開いて、懲戒解雇になんてなってやるつもりはなかった。自主退社もするつもりは毛頭ない。黙して従わず。それが、こんな私にできる唯一の抵抗だった。この抵抗がいつまでもつのか。それすらも自信が持てない自分が口惜しい。  只野が刈谷との戦いに奮闘している間、周りの哀れみとも怪訝ともとれる視線の中、私は淡々と通常業務と引継ぎに勤しんだ。努めて心を静め、ささやかな抵抗としていつも通りを心がけたが、毎月恒例の新商品会議では、何が新商品だ自分には関係ない、という気持ちに負け、ヤケクソなプレゼンを披露してしまった。跡を濁さずに飛び立つことすら満足に出来ない。だからくだらないことで我を忘れ、こんな状況になってしまっているのだろう。自嘲の笑みが自然と浮かんだ。何が「ガンガン葬祭~千発の花火を添えて~」だ。どこの誰が自分の葬式に千発も花火を打ち上げて欲しいと思うというのか。誰が葬式で出店を出すというのか。そんな葬式をどこで開くというのか。凄まじいまでの費用を誰が払えるというのか。実現できる要素が何一つなく、我ながら不謹慎なほどに馬鹿げた企画だった。それでも、私の状況を鑑みてか、部署の同僚からは罵倒が飛んでくることはなく。小さな笑いが生まれただけだった。優しさが痛かった。  目的の駅へ到着したというアナウンスが耳に届く。物思いにふける頭を振り、新幹線の座席を立った。これで到着、というわけではなく、これから電車に乗り換えなくてはならない。  ポケットから勤務地について書かれたメモを取り出して確認した。社内メールで届いたものを印刷したものだ。  勤務地の場所、といっても住所などは書かれておらず、何県なのかさえもわからない。東京から新幹線で三時間半。そこから鈍行に乗り換えて一時間。さらに乗り換えて三十分。最後はバスに乗って二時間。そんな気の遠くなるような到達方法だけが簡素に記されていた。  そして最後の行には無機質な明朝体で、明日からの私の勤務先が印字されていた――やすらぎの村支店、と。
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