6347人が本棚に入れています
本棚に追加
「何故、私に声をかけてきたんですか?」
「どう答えて欲しい?」
僅かに右の口角を上げたから、心臓が大きくドクンとなった。
やっぱり今日の私は変だ。
「そろそろ何か食べに行こう」
素直に頷いたのは、きっと人恋しいと思う私が居るから。
車に乗り込んで何処かに電話をしているから聞いてない振りをする。
神戸に住んでからの私はひたすら仕事の事だけを考えて過ごしていた。
誰かに迷惑かけたくないから真面目に勤務していたのに……
そこまで思って涙が滲むのが分かり、奥歯をギリッと噛み締める。
『我慢するな』と聞こえ、視線を向けるとハンドルに凭れた人が私の方を見ているから、またドクン!と心臓が飛び跳ねた。
昨日声をかけられ、今日私はこの人が運転する車に乗っているってやっぱり変だと思う。
最初のコメントを投稿しよう!