何故?

8/14
前へ
/290ページ
次へ
連れて来られたのは、1度も来た事がない鉄板焼のお店。 『座れ』と言われ、椅子を引いてくれたから素直に座った。 隣には二階堂さん。 「シャンパンは飲めるか?」 「少しなら」 会社の新年会に忘年会、そして歓迎会や送別会では、それなりにアルコールは飲むけど、強い方じゃない事は自分なりに分かっている。 「好き嫌いは?」 「ないです」 目の前のシェフに何かを言っているのは分かるけど、よく分からない。 私が外食する時は回転寿司屋。 それも地元に戻った時だけ。 目の前で焼かれている肉は、多分神戸牛だと思う。 「まずは出逢いに乾杯だな」 グラスをカチンと合わせた後、口の中に少し入れると飲みやすいと思った。 前菜は季節の焼野菜。 口に入れ食べるのだけど、味を感じられないのは、私には縁遠い場所に居るからだと思う。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6347人が本棚に入れています
本棚に追加