何故?

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浴室から出て人生初のバスローブを着てからドライヤーで髪を乾かす。 理由は私が着ていたものが何処にもないから。 私の着ていたものはどうしたのだろう……? ふいに脱衣所のドアが開き『遅い』と言った煌志さんが私の身体を横抱きにした。 「ドライヤー」 些細な抵抗だった。 片手でスイッチを切られたからドライヤーを置いた私の心臓は休む事なく激しくドクンドクンドクンと鳴る。 「1年だ」 「えっ?」 「声をかけるのに1年我慢した」 どう返して良いか分からない。 「日本には半月しかいない」 「どうして?」 「アメリカに会社があるからな」 「凄い人なんだね」 「なぁ、俺の女になれよ」 「会ってまだ2日なのに」 「雅にとってはな」 もう逃げれない。 いや、もう逃げるつもりがないんだ。
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