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質素に暮らす事を苦痛だとは思わない。
いつどうなるか分からない世の中。
歩道を歩いていても、車が突っ込んでくる時代。
贅沢するより、少しでも蓄えた方が良いと思うのは、元気なお父ちゃんがスキルス胃がんでこの世を去った事が忘れられないから。
豪快に笑うお父ちゃんだった。
仕事が休みの時は、私達をドライブに連れて行ってくれた。
近所のお年寄りが困っていると駆けつけて行くお父ちゃん。
誰からも好かれるお父ちゃんが大好きだった。
だけど、私よりもお父ちゃんを大好きだったのはお母ちゃん。
おしどり夫婦と言われるくらい仲が良かった。
「お父ちゃん、世の中は理不尽で不平等だね」
写真に向かって言っても返事が返ってくる事はない。
「悔しいんだ。胸が張り裂けるくらいに悔しいんだ」
言葉にすれば止まる事なく流れる涙。
私…弱虫になっちゃたのかな?
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