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黒タイツの下には、わたしの秘密が隠されている。
キーンコーンカーンコーン。
下校のチャイムとともに、一通のメッセージがきた。
─資料室で待ってる。
さっそく、女子トイレの鏡の前で前髪チェックを念入りに、淡いピンクの色付きリップをほんのりくちびるに色付けて。
鏡の前の女の子と、いや、女とにらめっこしたら制服姿のままセンセイのもとに駆け出すの。
そして、黒タイツの下にセンセイとおそろいの香水とセンセイからもらったシルバーの手錠のアンクレットを、こっそり忍ばせて今、あなたに会いにゆきます。
だからよそ見をしないでね、センセイ。
ねえ、センセイ、わたしが卒業したら桜の木の下でキスして。
最初で最後のわがままをかなえて。
ちゃんと、わたし大人になるから。
ねえ、センセイ。
こんなわたしのわがままも子どもじみた独占欲も、黒タイツの下に忍ばせたセンセイからの贈り物がよけいに加速させているの知ってるの?
それとも、知っててしたの?
悪い大人ですね。
こんな想いは、黒タイツの下に、ひっそり秘めておきたい、センセイに嫌われたくないもの。
制服姿のまま、あなたのもとに駆け出して行くわ。
あなたになら、だまされても、いい。
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