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オオクニヌシ
一通り、説明は終わったらしく、
「和界に空羽の身体を馴染ませる為 に少し周りを散策しませんか?」と釉がさそってくれたので、(二人っきりの散策ならデートでは!?)と浮き足立ってしまったが、廻間郡とは違って、和界は 生者の俺が立ち入る事を拒否している気配がそこらじゅうから ヒシヒシと感じて、(デートじゃないか?!美人と二人でお出掛けとか、デート だよな?!)と勘違いしていた、普通の男子高校生の俺は、寒気が殺気する ただよう不気味な興圏の雰囲気にデートだ!と浮かれるなんて事、出来なかった。
加えて、釉の態度は少し冷たく、「大丈夫ですか?」と微笑みかけてくるがどこが超えられない壁のような物があるのに気付いた。出会ってから廻間部で二日 興圏で二日、合計四日程経ってから気付いた。
俺の事なんて、どうせ「主様が呼びよせなさった人間」としか思って ないのだろう。
二人が歩いている大通りには、色々な店が立ち並び、 土産や食べ物服を売っている。
空を見れば晴れた青空、満天の星々が 輝く夜、常に満月が浮かんでいなければ、人界のような空。
そして悠々と 空をおよぐ、鳥や龍、神や仙人がたくさんいる。人の形をしている妖や魂もいるが、異形の者も多くいる。
人界にいるような普通の動物もいるが、人に慣れすぎた動物の魂には半獣として獣人化する魂もあるらしい。
街並みは昔の京都っぱい街並みで赤色でそこらじゅうは彩られている。
昔の京都と唐代とかなのか中華っぽい雰囲気もある。よく分からないけど。 人々の服も着物やチャイナ服、その二つが混ざった釉の着てる服に似ているのもあった。
文字は、平仮名、漢字、ハングル文字など大陸文化を国風文化の交わっている感じもあって複雑な文字になっている。 初日は見知らぬ文字ばかりだったのに、いつからか自然と読めている。
それからもうしばらくすると常に流れていた和界の波調、BGMも少し 薄まってきて三日目の午後にはもう流れなくなっていた。
そして三日目の夜、泊まっている宿へとそろそろ帰ろうとして気付いた。 いつの間に釉の姿が見えない。はぐれてしまったのだと宿へ急ぐ 。突然誰かに腕を引かれた。そのまま有無を言わさずに行き止まりまで連れてこられた。
「何で生きてる人間が、和界にいる訳?」そうして人影はふり返ると威圧的に問いかけてきた。身長は180cmぐらいで釉よも高い。とてつもない圧を感じる。和界では見かけなかった現代っぽくアレンジされた和服。
そして刀。確実にヤバい人に目をつけられた。「質問に答えなよ。」 と刀に手をかけた。(ひい。ヤバくない。俺もしかして殺されてしまうのでは?)と
慌てて「ゆ、釉が。え〜と誰かの命令で俺は釉っていう神使みたいな存在にここへ連れてこられて。ではぐれてしまって…。」ととりあえず答えた。
そうすると、刀を持つ男は大きな溜息をついた。「あのなぁ。そうそう簡単に生きてる人間が和界に来れるはず無いんだわ。それこそ、数百年に一度のレア激ヤバのくっそ面倒な案件なの。しかも祭りが近いっていう超バットタイミングに 起こるとか最悪なんだが。そして、人界から誰かを連れてこれるよう な力を持った奴なんてそれこそ上の照園でも一握りの神さん達だけなの。で?お前を連れて来た、神々と同じくらいの強大な力を持ってる奴とぉはぐれたって?ハァ。頭痛くなってきた。なんだって俺が担当の時にこんな激重案件が来るんだか。」と俺の方へ近付いてくる。
「おいおい、そんな怯えんなよ。刀で脅しすぎたのは謝るし」刀がそう言った瞬間消えた。
「おとなしくしてくれたら危害は加えない。だからとりあえず 保護させてもらう。ついて来てくれ、一応、名乗っておく。俺はオオクニヌシ。一応、神様だ。照圏にしか神はいないって訳じゃない。 俺には興圏の方が楽なんだよ。ここでの名は幸夜だ。ほら、ちゃんと 正体を明かしたろ?信用してくれよな。」
「俺は空羽。よろしく。また片名を出さないならついていく。」
その時、さっと幸夜と空羽の間に割って入ってくる人影があった。「釉!」「はぐれているのに気付いて、散々さがす羽目になりました。 間一髪、誰かについていこうとする所を止められてよかったです。」と俺の方を見てくる釉。髪は少し乱れ、いつもの冷静さはあまりない。口調は丁寧だが、焦りと心配と怒りが伝わってくる。
「あんたが、生きてる人間を連れてきたって釉か。すまないが上に判断を仰ぐために一緒に来てもらねないだろうか。」幸夜が スマホをとり出し、画面を見せてきた。なるほど、巡警吏(じゅんけいり)ですか。」
すると釉は、空中から腕輪をとり出した。そこにある紋章を見ると
幸夜は、「たまたま巡警吏の中で俺に当たってラッキーだったな。 その紋章が分かるのは、一部の神々だけ。オオクニヌシもそうだがな。」 と幸夜、
改めオオクニヌシは笑い出す。その内に離れましょう。」という釉に従い、 路地を離れようとする。
「待ってくれよ。面白そうだから、巡警吏を辞めて、 ついていく事にした。何にせよ、和界の奴の中で誰一人として、事情を知らないのも危険だ。その紋章を持つ者が動くのは、非常事態、しかもヤバめのだけだ。」と急に真剣になったオオクニヌシ。
釉は何も言わず、無表情だった。
静寂に耐えきれず口を開いたその時、興圏の祭りの合図である 花火が打ち上がる。あまりにも眩しくて、目を瞑った。すると急に激しい目眩と吐き気
そして頭痛もし、三つの痛みがピークに達し、はじけるようにかき消えた。
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