狐狸クション

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軽い沈黙の後主人は言った。 「君は一族の絵をこうしてただで集めると言うのか?」 主人の問いに俺は答えた。 「全てに巡り合うとも限りません。  全てを手に入れたいとも限りません。  ただ、この絵は僕の絵です。」 主人はもう一度、絵に視線を戻すと息子に言った。 「この絵を外してくれ。」 主人は息子の言動を制して梱包するように命じた。 _____________________________ 俺は家に帰るとグリーンのコンタクトを外した。 こんなもので顔料が見分けられる訳ないだろう。 ふん。 鼻で笑うと誰が描いたか知らないけど 俺じゃ買えない、なんかいい絵を壁に飾った。 一方、お屋敷では 「お父さん・・よかったんですか?」 「ああ、構わん。  悪い気はしなかったからな。」 そう言って、顎髭の感触を人差し指で確認する主人が目を細めた。 「あれは、私が描いた絵だ。」 「え?  えーーーーーーっ!?」 一族とは縁もゆかりも無いその男は満足そうな顔をして 何もかかっていない壁を見つめた。
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