堤 京香

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 元カノ、元カノって……。まだ別れてねーだろ。身体の相性がいいから別れないの? 私は北岡さんより顔と性格がタイプってこと?  大人の雰囲気漂う篤志がとても魅力的だった。仕事でミスした時も、私のフォローをしてくれて、アドバイスもくれた。信頼できる先輩だなと思って、いつも頼りにしていた。  それを篤志が勝手に勘違いして、アプローチしてきたんじゃん。   「大丈夫? 急に二股とか言われても、気持ちの整理がつかないよね」  北岡さんが私に同情してくれている。この人はどこまでお人好しなんだろうか。  私は残りのオレンジジュースを最後まで飲んだ。 「頭に来るなぁ、あの男」  もう篤志の姿が見えない窓の向こうを、北岡さんは睨みつけてた。    別れ話をしたとか、既読スルーとか。全部嘘だろ。私を安心させるための嘘。安心させといて、北岡さんとも関係を続けている。そんな見え透いた嘘を、私が気付いていないとでも? 年上のくせになんて浅はかな男。  私はショックで何も言葉が出てこない、フリをしている。 「私のかわいい後輩にまで手を出すなんて……。ほんと許せない」
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