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北岡さんはブラウスの襟元から、ネックレスをチラリとのぞかせた。見えたペンダントトップは私のピアスと同じデザインだ。
「これ、そのピアスと同じブランドだよね」
「わぁ! 私、このピアスとそのネックレス、セットでほしいって言ったんですよ。そしたら彼が『二つは高いからダメ』って言って……」
「おいおい、惚気かよ〜」
「そういう北岡さんも、彼氏とうまくいってそうですね」
「私も前からこのネックレスかわいいって思ってて、ねだっちゃった」
幸せそうに微笑む北岡さん。その笑顔を見たら、こっちまでなんだか笑っちゃう。
「北岡さんも充分のろけてますよ〜!」
「ふふふ」
ホットコーヒーを飲む北岡さん。仕事もできて、人望も厚く、彼氏もいてプライベートも充実している。本当に絵に描いたような先輩。
「私たち付き合って半年ぐらいなんですけど、彼の元カノがしつこいらしくて……」
「そうなの?」
「会いたいって何度も連絡くるし、家の前で待ち伏せされたりするらしくて……」
「え! もうストーカーじゃん!」
「優しい人だから、あんまりきつく言えないみたいで」
私がサンドイッチにかぶりつくと、照り焼きソースが溢れて口の周りを汚した。紙ナプキンでソースを拭き取ると、オレンジジュースを一口飲んだ。
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