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「でも、ちゃんとそうやって報告してくれるってことは、北岡さんのことを大事に思ってるってことですよね。やましいことあったら、言えないですよ」
「それ言ったら堤ちゃんだって、元カノのことちゃんと言ってくれてるじゃん!」
あ〜、確かに。今気付いたかのように頷いた。
「私たち、彼氏に愛されていますね」
「そうね」
サンドイッチをもぐもぐしながら、私たちは照れ笑い。口元が緩みすぎて、時々思い出しては吹き出しそうになりながらも、よく咀嚼した。
「堤ちゃんと、こんな恋バナができるとはねぇ」
「私も北岡さんの惚気が聞けて嬉しいです」
サンドイッチはもう食べ終わって、あとはドリンクがまだ少し残っている。
オレンジジュースを飲みながら、窓から歩道を行きかう人たちを眺めた。そして、ガラス越しに一人の男性と目が合った。
「篤志」
私たちは同時にその名を呼んだ。
「え」
私は驚いて北岡さんと篤志を交互に見た。
篤志は私たちを見ると不自然に立ち止まり、明らかに顔がこわばっていた。
「篤志?」
急に篤志はその場から立ち去った。私は呆然とした。
「北岡さん、一条さんのこと『篤志』って呼んでるんですか?」
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