堤 京香

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堤 京香

 楽しかったランチが、一瞬にして気まずい空気になってしまった。 「今日ね、本当は堤ちゃんにグイグイ女のこと探ってもらおうと思ったの」  北岡さんはコーヒーを飲み干した。 「そしたら堤ちゃんのピアス見えちゃって。前に篤志に画像見せられて『ネックレスとピアスどっちがいい?』って聞かれたから」  途中から探りを入れてたってことか。 「私も篤志に画像見せられて、どっちも欲しいって言いました」  最初から薄々は感じていた。北岡さんも篤志も、仕事中に時々みんなとは違う雰囲気だったし、急に北岡さんが南営業所に異動だなんて変な話だと思っていた。 「私たちは別れてもいないし、堤ちゃんも付き合ってるんだよね」 「はい……」  少ししおらしく返事をしてみた。 「私たち二股かけられてたんだよ、篤志に」  うん、気付いてた。知らなかったのは北岡さんだけじゃないかな。      篤志は私をかわいいと言った。 『元カノはまじめ過ぎてつまらないけど、身体の相性はいいんだよね。でもトータル的には京香の方がいい。顔もタイプだし、性格もかわいいだろ』
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