ある日のランチタイム

ランチタイム

　十二時のチャイムが鳴り、事務所内もザワザワし始める。
　私も作業を切り上げた。デスクワークは肩や首がこりやすい。両手を上げて、伸びをする。やっとお昼だ。今日はどこでお昼食べよう。

「あ、堤ちゃ〜ん。今からお昼？　一緒に食べようよ」

　呼び止められて振り向くと、先輩の北岡さんが小さく手を振って小走りで追いかけてきた。

「わぁ、北岡さ〜ん！　お久しぶりです！　今日はこっちなんですか？」

　三つ上の北岡さんは、私が新入社員の時にいろいろと仕事を教えてもらった先輩だ。面倒見がよく、愚痴も聞いてくれるから、私はとても慕っていた。今年度から南営業所へ異動となり、もう何ヶ月も会っていなかった。

「今日はこっちに用があってね」
「そっちはどうですか？」
「こっちの新入社員くん、ワンコ系でかわいくてさ、つい甘くなっちゃうのよね〜」
「え〜、うらやましいです。こっちの新入社員は男の子いないんですよ〜」

　懐かしさもあり、積もる話に花が咲く。

「あ、どこで食べよっか。いいとこ知ってる？」
「最近、イートインできるサンドイッチ屋さんが、近くにできたんですよ！　ドリンクもありますよ」
「わ！　行きたい行きたい！」