謎の招待状

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 もうこの事も隠していてもしょうが無いだろう。僕はこの事実は両親に告げる決意をすると、僕が体験した話を彼等に話した。  本来ならとても馬鹿げた話だろう。だって、5才の語るお伽噺の妄想だと捉えられてもおかしくないのだ。でも、それを聞いた両親は逆に一切笑うことはなく、寧ろ二人とも見せたことない苦悩の表情へと変わっていった。 「なんてことだ!? どうして神は我が息子を選んだのだ」 「どうして、この子にそんな過酷な運命を……」 「父様、母様……僕が語った勇者の話を信じてくれるんですか」 「当たり前だ!?」 「当たり前です!?」 「お前はなメディウス、嘗ての歴代の勇者さえ授からなかった加護を神から受け取ったんだよ。賢者には魔眼持ちが居た。だが、勇者にはそれが無い。勇者と共に戦った魔法使いは攻撃魔法として全ての属性を扱えた、しかし勇者には縛りが有った。聖女には超回復の魔法の加護が有るが、勇者にはそれが無い。言いたいことは分かるね、メディウス」 「はい、僕は魔法に対して無限の可能性が有るみたいです」 「しかし、勇者には有るけどアナタに無いものが有るわ」 「……剣術や体術ですね」 「そうだ、だからこれから毎日私の剣術、母さんの槍術を徹底的に叩き込む。お前は父さんが成しえなかった剣聖、剣豪、剣王、剣帝、この何れかにも届く人間に成りなさい、いや越えなくてはならない。理由は何故だかわかるね」 「魔王との戦いのためですね」 「いや、お前が死なない為だ」 「死なない為?」 「そうだ。お前は魔王と戦わないと行けない運命にあるのかもしれない。だがその前に、自分の生命を守れるだけの力を身に着ける事が先決だ。そのための剣術を身に付けると思いなさい」 「魔力は有限だが、剣術はある意味無限だ」 「でも……いつ魔王が攻めて来るかなんか」 「もしそうだとしたら、今の剣聖達が戦うまでだ。私も含めてな」 「父様もですか、どうして父様まで?」 「それはお前の便利眼で見れば分かることだ」  その言葉を聞いて父様の意味する事が何となく分かった。いや、便利眼など使わなくとも今の父様の身体を見れば一目瞭然なのだが。
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