謎の招待状

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 ~~親愛なるアーネスハイド殿~~  私の名前はオムニバス・キャバリエ  まずこの手紙を読んで突然のことに驚かれるやもしれない。 しかし、先のオートナリアの司祭フィアット・ワズナーより奇妙な報告を受けた。貴殿の息子殿の鑑定結果についてだ。一見特質すべき加護を持たない人間と見えるが、どうやら違っていたことが分かった。其方の息子の加護が未知のものであること。そして魔法属性が8と表記されていること。水晶から示される情報に出鱈目な結果を示すことは無いと私は考えた。  貴殿も元王国騎士団の出、知っての通り先の戦で勇者は何者かの手によって殺された。勇者の持つ加護ではもう魔族に太刀打ちできないと言う事だ。そのため、私は其方の息子の加護が今度の魔王に対しての鍵だと推測している。そしてもう一つ分かった事は魔法の属性の8についてだ。色んな書物を漁ったががやはり8つの属性など確認ができなかった。そして疲れていたのかうっかりとその報告書を床に落としたのだが、その時に気付いた。あれは8ではなく、無限の文字であることを。  だが、それだけならば私は其方にこの手紙を送る事はなかった。私が最大限に興味を持ったのは、何百年も経過せぬと完璧な水晶にならない鑑定用の水晶が、其方の息子の鑑定後に完璧な水晶へと昇華したことだ。偶然でなる代物ではない。特別な力を具えてこそのなぜる技だ。  しかし安心して欲しい、将来はどうしても其方の息子の力が必要となるやもしれないが、其方の息子が成長するまで、我が教会は其方の息子を保護する観点で動かせてもらう。その為にも、立派に成長をして貰う環境が必要だと私は考えた。  そこでだ、其方の息子を王立アカデミーへの無条件入学のパスを送ることにする。詳細はまた今度の使いにより追って報せよう。  条件を呑んで貰える場合、貴殿の男爵の復帰を約束しよう。
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