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最後
「えー、ホームルームを始める前に席替えをしようと思う」
朝、担任の先生が教室に入ってくるなり、そう告げた。
「えっ⁉ 席替え⁉」
「よっしゃ!! 一番端の席がいいなあ」
「うわ~めっちゃ、ドキドキする~」
クラス中が騒ぎ始め、喜びの声が飛び交う。
「皆、後ろ下がって。左の前から順に言ってくから、言われたところに来るように」
ドキドキしながら、私も藍と一緒に後ろへ下がった。
「え、どこだろ。後ろがいいな」
「私も~」
教卓の前の席に来た時、私の名前は呼ばれた。
「宇都宮さん、ここ」
驚きのあまり、固まってしまう。
「え? 教卓の真ん前?? え? マジで? 嘘でしょ⁉」
そんな姿の私を見て、藍は言った。
「まあまあ、一旦行きなって」
「嘘でしょー⁉ 私、授業態度悪いですか?」
先生に聞くと、先生は半笑いしながら答えた。
「授業態度が悪いだけで前には行かないよ」
先生の答えを聞き、周りにも笑いは伝染し、教室には笑い声が響いた。
全員の席が指名され、机を動かし、辺りを見回した。
仲が悪くも、良くもない子ばかりだったが、一個隣には藍と友達もいた。
「はー安心したぁ。誰とも喋れないとかだったよ」
藍を見ながら言うと、微笑んでこう言った。
「私もだよ。ね? 綾人?」
「だね。あんま、近くになんない子ばっかだもん」
そんなこんなで、この日は無事に終わった。
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