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 しかも、本社がオルディス州内にないものもあった。容疑も固まっておらず、家宅捜索令状も取れない今の段階では、広域窃盗団との関係を証明するような何かが出てくるまで家探しするというのは当然無理だ。 「ドライバー元警部補はどうやって絞り込んだんでしょうね?」  困り果てて疑問を口走った。その瞬間、ロイが何かを閃いたかのように目を見開いた。 「それだ、それだよ。ヴァン」 「え?」  意味がさっぱり分からなかった。  呆気(あっけ)に取られている自分を尻目にロイは身体を乗り出して後部座席にあるバッグに手を伸ばしていた。 「ヴァン、ドライバーの元嫁さん、ジェシカの今の苗字ってなんだったっけ?」  ロイは鞄をごそごそと開けて、私用のものらしきパソコンとポケットルーターを取り出している。 「えっと、ローバー、ジェシカ・ローバーです」 「サンキュ」  そう言うや否や、ロイはネットにつないだパソコンで検索を始めた。何を探しているんだろうか、胸を高鳴らせながら彼の作業をじっと見つめた。 「あった、これだ」  ロイが獲物を見つけたように歓喜の声を上げた。
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