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恐らく、ジェシカは知らず知らずのうちに犯罪の片棒を担いでしまったことをドライバー元警部補、もしくは別の誰かからの忠告で知ったのだ。そして、父であるスティーブ・オルブライト元警部に泣きついた。ドライバー元警部補がその一連の動きであおりを食って切り捨てられ、島流しにあったとすれば、彼が周囲に協力を求めなかったことにも説明がつく。一度、警察に裏切られていたからだ。
その後の彼の行動も推察が付いた。恐らくグラムバレー署の故物取締係に配属されてから、フリーのジュエリーデザイナーにも品触を渡して協力を要請し、広域窃盗団の足取りを追っていたのだろう。
「オルブライト元警部、それとジェシカに事情を聴きに行きましょう」
勇んでそう言うと、ロイが首を横に振った。
「いや、まだ早い。まずはこのクラフトマンズ・グループを洗おう。俺たちの推理通りなら、この会社は必ず広域窃盗団、それに何らかの反社会的勢力と繋がりがあるはずだ」
確かにそうだった。普通に考えれば暴力団のフロント企業(*1)である可能性が高い。
「どう攻めますか?」
尋ねると、ロイが考え込むように腕組みをした。
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フロント企業(*1):暴力団関係者が経営に関係している企業のこと。
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