佐藤からの電話

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佐藤からの電話

 佐藤という発明家の親友がいる。  最近、興奮したときに頭から煙が出るようになる人体改造技術を開発したらしい。 「最初に、お前を改造したいんだ。今日は日曜で休みだろ? 今から装置を持って行くよ」と、ものすごく興奮ぎみの佐藤から電話がかかってきた。 「休みで暇だから、来てもいいけど……」 「待ってろ。すぐ行くから。あっ、絶対に興奮するようなことするんじゃないぞ。質の良い煙が出なくなるから」 「え! せっかく、今から興奮するコンテンツを観ようと思ってたのに。あまりにも、ひどすぎるよ」 「頑張って、我慢するんだ」  もう少し佐藤の電話が遅かったら、絶対に観ていたであろうコンテンツの誘惑に抗っていた俺は佐藤が来るまでの間、体をクネクネしながら耐えていた。 「悪い、ちょっと遅くなった」  ズボンを膨らませながら、佐藤は大きな箱を抱えて家の中に入ってきた。 「佐藤、そのズボン…… 早く、興奮したときに頭から煙を出せる技術使って、使って! もう、ヤバいって、ヤバいって」 「見た感じ、マジでヤバそうじゃん。すでに興奮してるし」  佐藤はゲラゲラと笑っている。 「喋ってないで、早く、その箱を開けろ」 「お、おう……では、ご披露するぜ。これが新作の、興奮したときに頭から煙が出るようになる技術が入った人体改造装置」 「前置きはいいから、早く改造して、改造して!」  俺は体をクネクネというレベルを超えて、メトロノームの様にブンブン左右に体を動かしていた。 「ちょっと待ってろ、確か、お前の寝室は……どこだっけな?」 「書斎の隣だよ!」 「書斎は……どこだっけ?」 「いいから、ついてこーい!」  俺は、背骨が折れるんじゃないかってくらいの勢いで、体を左右に揺らしながら寝室に向かって行った。  焦りながら狭い廊下の壁に頭をゴンゴンぶつけて、ようやく寝室に辿りついた。 「じゃあ、改造の前に、もっと興奮させてやるから」  佐藤の目は見開いている。 「や、やめろよ!」    すると、佐藤は、俺を押し倒して、ズボンのポケットからロープを出し、手足をグルグル巻きにした。 「さ、佐藤! なんて、手際の良さなんだ!」  身動きがとれない俺は、謎の注射を打たれて意識を失った。    
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