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えっ?
目覚めたら俺は見知らぬ場所にいた。
「ここは?」
無人島であることに気づくのに、時間はかからなかった。
「状況が、わからない」
そのとき、頭が、やけに暖かいのに気づいた。
しかし、今は、そんなこと気にしている場合じゃない。
なぜ、ここにいるのかを思い出さなければ。
記憶が、徐々に蘇る。
もしや、佐藤のやつに騙されたのか!?
その時、遠くからヘリコプターが近づいてきた。
ヘリコプターは、迷わずに俺の所まで来て着陸する。
「君! 大丈夫か? 頭は別として……」
ヘリコプターから、出てきた男が言う。
「はい、助かりました。頭も大丈夫です」
「君は、自分の頭が大変なことになってるのに気づいてないのか……この島の砂浜から、とてつもない量の煙が出ていた。近づいてみたら、頭から黒煙をモクモク出している君がいるのを発見したんだ」
「頭? ああ、おそらく、友人にやられまして、って、お前、佐藤じゃねーか!」
「あっ、バレた? 救助隊員っぼく変装してるのに」
「変装してても、声でわかるよ!」
「あっ、それは盲点だったな。でも、予定通りに上手くいった。商品化できそうだよ。大金が手に入るぞ」
「もちろん山分けしてくれるよな?」
「もちろんさ!」
俺と佐藤は涙を流して抱き合った。
「あのさ……申し訳ないんだけど」
と抱擁を交わした後、佐藤が言った。
「何だよ?」
「煙を止める技術が、できてないんだ……」
「問題ないさ。俺は、このキャラを活かして大物になってやるよ。ちょうど、退屈な人生に飽きていたところだったからな」
「お前ってヤツは、まったく……イカれてるよ」
「褒め言葉か? まあ、とにかく、モクモク後藤っていう名前で活動しようと思っているんだ」
「最高のネーミングセンスだな……俺を、お前のファン一号にしてくれ」
「ああ、もちろんさ」
こうして、俺はモクモク後藤として動画配信サイトで活動することになった。
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