一日だけでいいから……

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 最後は笑った顔が見たいなと、微かに喉から出た音を二人は聞き取った。二人は顔を見合わせ佳奈に向かって破顔した。──目に大粒の涙をためて。  佳奈は笑おうとして、失敗した。色々な感情が入り混じって、歪んだ笑顔になってしまった。  佳奈は足の方から光の粒となって、空へと飛び立った。     *  *  *  ある晴れた日、住宅街に二人の少女が立っていた。 「私、昨日あの子の夢を見たの」 「え! 私もだよ」  黒髪の少女の言葉に、隣に立っていたショートカットの少女がはねる。  二人は『あの子』について、話を続ける。 「あの子、体育で校庭走り回ってたんだよ。あと、朝早くに学校に来てた。……でも、私ひどい態度取ってた。何で、あの子のこと、無視するようなことしてたんだろう」 「私の夢も同じだよ。……確かに、あんたの様子がおかしいって相談された。あ、それでね、夢の中で貸した本が実際に失くなってたんだよ。そしたらさっきあの子のお母さんが部屋で見つけたのを返してくれて……」  ショートカットの少女はこれこれと、実際に本を隣の少女に見せる。  二人は顔を見合わせる。 「もしかして、あの時渡した四つ葉のクローバーのおかげだったりして」 「ああ、四つ葉のクローバーで願いが叶うっていうやつ。私たちの一緒に学校に行きたいっていうのが届いたのかな。それとも、あの子が願ったのかな」 「どっちでも私たちは幸せだったよね」 「うん」  少女たちは歩き出した。 ─Fine─
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