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私──咲倉かなは体が弱かった。小さい頃からよく入院して、学校に行けないときもあった。一年の三分の一は休んでいた小学生時代。ほぼ毎日学校に行けてた中学生時代。急に体調が悪くなってしまった高校生活。この間、心臓が痛くなって入院していて……。
すごくありきたりだけど、花畑に立っていたんだ。すぐ隣にはとっても綺麗な水が流れる川もあった。綺麗な水。私の家の近所にはこんな綺麗な川、ない。透き通っていて、きらきらして、優しい風が吹いてくるようだった。
花畑ではいろんな花が咲いていた。二輪草、黄菖蒲、藤袴。少し遠くにユーカリの木もあった。季節も生息地域もバラバラだったから不思議だなって思った。
そして、私の手の中にはなぜか四つ葉のクローバーがあった。どうしてこんなものを持っているのか分からなかった。
後ろを振り返ると目の前におじいさんがいた。私の祖父という意味ではなく、歳をとった男の人という意味のおじいさん。
「君の手の中に四つ葉のクローバーがあるだろう?君は一度だけ願いを叶えることが出来るんだ。ただし死んでしまったことを取り消すことは出来ない。元の世界に行くなら最長でも一日だけだよ」
死んでしまったことを取り消すことは出来ない。この時、改めて実感した。ああ、私、死んだんだなって。
ここで私は願ったんだ。
『一日だけ健康な体で高校に通いたい』って。
「では、夕方頃に帰って来れるようにしておこう。私のことを思い出したら周りの人も君がどうなったのかを思い出すからね」
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