4

7/7
前へ
/40ページ
次へ
 切り替えが早い俺は、ボックスティッシュからティッシュを何枚か引き出して、師匠に渡した。自分も身体を拭いて、トランクスだけ履いてベッドに転がる。隣に横になった師匠に腕枕をする。 「俺、こうやって誰かと一緒に暮らすの、夢だったんスよ。だからよけいに、あの街での暮らしが楽しくて、師匠にコロッと行っちゃったのかも」 「コロッと、か」  師匠は小さく笑った。 「いいもんな、誰かと暮らすのは」  ああ、また家族のこと思い出してる。当たり前だよな、俺なんかと違って、たぶんめちゃめちゃ家族を大事にしてたんだろうから。  せつなげな顔になる師匠を、ぎゅっと抱きしめる。  俺達もいつか、家族になれたらいい。自分達でまともに店を持って、二人で働いて、ずっと一緒にいれたらいい。  師匠が寝た後も、俺はしばらく師匠の寝息を聞きながら、師匠との未来をあれこれ想像していた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加