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すれ違い
翌日
『おはよう、時雨…昨日は…』
「おはようございます」
時雨は名波と目を合わす事もなく、そっけなく横をすり抜ける
仕事中はいつも通り、会話をする…が
やはり目を合わそうとしない
そうこうしてるうちにランチタイムになった
『時雨、飯付き合わないか?』
「すみません、外回り出るんで」
『あ、そうか…行ってらっしゃい…』
やはり目が合わない…故意にか…
あんなにキラキラした目で俺を見てたくせに
何だよ…胸が痛い
その日の夕方
「戻りました」
恋しかった時雨の声に、無意識に微笑む
そんな俺を見た時雨は一瞬固まったがフイっと顔を逸らした
いつもなら、時雨は外回りの報告に来るはずが何故か頭を描きながら出て行ってしまった
『ッチ…』
名波は時雨を追いかけ廊下に出る
『時雨!』
廊下の先にその背中が見える
時雨は立ち止まり、迷ったように振り返る
「名波さん」
名波は早足で時雨に駆け寄りその腕を引いて近くの会議室へ引っ張り込む
スライド式のプレートを【使用中】に変えることも忘れない
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