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「白鳥様、おはようございます」
一通り朝の仕事を終えて一階のロビーへと向かう途中、丁度カフェのテラス席でお茶をしていた白鳥様をお見かけし、私は足早に彼女の元へと向かいご挨拶をした。
「おはようございます。天野様、楓様はまだかかりそうですか?」
白シャツに、ストライプ柄の黒いパンツスーツをピシッと着こなす白鳥様。
相変わらず無表情で世間話などは一切せず、端的に要件だけを述べてくる振る舞いも、何だか徐々に慣れじめてきた。
「申し訳ございません。楓様を起こすのに手間取ってしまって……。朝食は既にお召し上がりになられたので、間も無くいらっしゃると思います」
タイムスケジュールが遅れてしまっていることに、バトラーとして私は白鳥様に深く頭を下げる。
「想定内なのでご安心下さい。繁忙期中の寝起きの悪さはどうしようもないので」
そう仰ると、白鳥様は小さく溜息を吐くと、飲みかけのコーヒーを口に運ぶ。
「そういえば、バトラーを付ける前は今まで白鳥様が楓様を起こしていらっしゃったのですよね?」
あのやり方を見る限りだと、随分手慣れていたけど、毎回訪れるのもなかなか骨が折れることだと思う。
「職務に支障が出る可能性がありますからね。これも秘書の役目です。普段は平気なのですが、ここに滞在する間は睡眠時間も短く心身共に疲労しているので致し方ないですね。でも、今は天野様がその役目を担って頂いてるので、とても助かってます」
やはり表情は崩す事なく、淡々とした口調で説明して頂いた楓様の事情に、私は胸の中がもやもやし始めた。
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