第6話.おもてなし

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「白鳥様は楓様とは付き合いが長いのですか?」 お二人の様子を見だ限りだと、取締役と秘書にしては何処か気の置けない仲のようにも見えて、私は思い切って踏み込んでみた。 「楓様とは同期で、スタート地点からずっと同じでしたので」 「ええ!?ど、同期で秘書なんですか!?」 すると、まさかの想像を超えた返答に、私は思わず声を張り上げてしまう。 同期同士という事は、私と瀬名さんみたいな立ち位置で、しかも秘書だなんて……。 ……。 …………羨ましい。 ……。 …………なんて。 ホテルマンに秘書は存在しないけど、つい自分と置き換えて四六時中一緒に居られるところを想像してしまい、危うく表情が緩み出しそうになってしまった。 「本当は若い女性の方々が楓様の秘書を務めていたのですが、あの容姿と御曹司という肩書きのせいで、悉く色仕掛けの目に遭っていたそうで。それで私に白羽の矢がたったんです」 けど、浮かれる私とは裏腹に、遠い目をしながらうんざりするようなご様子で語る白鳥様を見る限りだと、私と瀬名さんのような関係性とはまた違うのでしょうか。 「白鳥様は楓様とは同期として親しい間柄なのですか?」 本当に先程から訊いてばかりで申し訳ないと思いながらも、そんなお二人の事が更に知りたくなり、私は構わず質問を続けた。 「私も楓様も人に踏み込むタイプではないので、親しくはないです。強いて言うなれば戦友でしょうか。それでも、楓様の事情については秘書だからというのもありますが、それ以上に社内では人より詳しい方だと思います」 相変わらず平坦な口調で説明する白鳥様の話に耳を傾ける中、私の中で小さな疑問が生まれた。 確かに楓様は人に心を開くお方には見えないけど、白鳥様が楓様の詳しい事情を知っているということは、それだけ信用している証拠ではないのでしょうか。 私には未だ何も語ろうとしないのだから……。 まあ、私と楓様の付き合いなんてほんの僅かしかないので、当たり前といえば当たり前なのでしょうけど。
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