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第4話
それから2日後のことであった。
この日から、JR予讃線の一部不通区間の代替バスは観音寺と多度津の間の直通便が増えた。
寝ぼけた表情を浮かべている直人は、多度津行きの直通運転のバスに乗り込んだ。
その後、いつものように座席に座ったあと大きなイビキをかいて寝ていた。
やがて、バスは多度津駅に到着した。
代替バスを降りた直人は、学校に行かずに町一帯をブラブラと歩き回った。
この時、直人は善悪の区別が分からなくなった。
オレ…
今、どこにいるのだろうか…
暑さで頭がいかれた…
学校と違う方向に向かっているけど…
どうでもいいや…
直人は、酷暑による熱射で脳細胞が完全にイカれた。
善悪の区別を判断する力は、完全に喪くなった。
ところ変わって、多度津駅から500メートル先にある商店街の露地にて…
直人は、そこにある焼き鳥屋さんの前にやって来た。
店の玄関に『喪中につき無期限休業』と書かれている貼り紙が貼られていた。
貼り紙を見た直人は、ボーッとした表情でつぶやいた。
喪中につき無期限休業?
どういうこと?
ここの店のご家族に…
どんなふこうごとがあったのか…
店の前でボーッと突っ立っている直人の前に、通りかかったすしやの主人が声をかけた。
「コラ!!オドレはどこの高校の生徒や!!」
「えっ?」
「えっ?じゃなかろがアホンダラ!!オドレはガッコウへ行かずになんしよんぞ!!」
「ガッコー?」
「そうだ!!」
「お腹いてーから…休んだ…」
「コラ!!」
「ガッコーなんておもしろくねえよ!!」
「甘ったれるな!!ガッコーへ戻れ!!」
「るっせーんだよクソバカオヤジ!!オレはガッコーなんかイヤなんだよ!!そんなことよりも知りてーことがあるから教えろよ!!ここの焼き鳥屋が喪中につき無期限休業…と言うのどういうことだよ!!」
直人の問いかけに対して、すし屋の主人はムッとした表情で直人に言うた。
「コラ!!オドレは口が悪いのぉ〜!!…ってか…もうええわ…そんなに知りたいのであれば話すわ!!あれは7月6日に豪雨災害が発生した晩だった…桃陵公園でレイプ殺人事件が発生した…そのニュースは翌日の新聞に書かれていたのだぞ!!」
「知らねーよ!!」
「オドレは新聞を読まんのか!?オドレの場合はスポーツ新聞のやらしい面を読むんだろ!!新聞よむのであればまともな面を読め!!」
「るっせーなクソオヤジ!!オレは大学なんか行きたくねえよ!!それよりもレイプ殺人事件のことを教えろよクソオヤジ!!」
直人は、ますますえらそうな口調で言うた。
すしやの主人は、ものすごく怒った声で『オドレはどこのどこまでえらそうな口をしてやがる!!』と言うたあと、7月6日の晩に発生したレイプ殺人事件のことを話した。
「あのな!!土佐泊屋のご夫婦は、幸せイッパイだったんだぞ!!…たったひとりの娘さんは、女子大も恋も順風満帆で『毎日楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい楽しい…』と言うてたよ…なにもかもがジュンチョーで、来年の春に女子大を卒業したら小学生の時から大好きだったカレと結婚して、家にムコはんを迎える予定だったんゾ!!…それが7月6日の豪雨が降っていた夜…幸せはあっけなく壊れた!!…娘さんがグチョグチョに犯されて殺された…容疑者の男が身元不詳で捜査がナンコウしている…その上に、土佐泊屋の息子夫婦が子ども2人を連れて都落ちした…ヤミ金てぇつけたことが原因でヤクザに追われていた…あのレイプ殺人事件が原因で土佐泊屋さんの家はふこうごとが続いているのだぞ!!それが原因で、土佐泊屋は近いうちにたたむことになった…」
すしやの主人の話を聞いた直人は、気分が悪くなったのでその場から立ち去った。
ところ変わって、町内東浜にある港の待合室の洋式トイレにて…
「グハッ…」
(ボトボトボトボト…ボトボトボトボト…)
直人は、洋式便器の水たまりに大容量のトシャブツを吐き出した。
トシャブツは、水たまりの中にいきおいよく落ちた。
すしやの主人からことの次第を聞いた直人は、7月6日の恐ろしい豪雨が降りしきる夜に桃陵公園でみたおぞましい光景を思い出した。
(ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!ドカーン!!バリバリバリ!!ドザーッ!!)
恐ろしい豪雨が降りしきる中、直人はレイプ殺人事件が発生した現場に近づいた。
その時、直人は土佐泊屋さんのご夫婦の娘さんが無残な姿で死んでいたのを目の当たりにした。
娘さんは、男にひどい力で殴られて顔がグチョグチョに傷ついた…
白のブラウスが思い切り破れていた…
Hカップのふくよか過ぎる乳房が露わになっていた…
赤色のスカートがくしゃくしゃにまくり上げられていた…
ナマ脚がドロでグチョグチョに汚れていた…
「ううううう…ううううう…」
(グハッ…ボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボトボト…)
女性のおぞましい遺体を目の当たりにした直人は、その場に座り込んだ。
そして、口から大容量のトシャブツを吐き出した。
「グハッ…グハッ…ゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホ…」
大容量のトシャブツを吐いてせき込んだ直人は、その後女性の遺体を犯した。
直人の心は、あの日の夜を境に大きく壊れた。
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