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冷たい階段を降りてリビングに入ると、さっきまで誰かがいたらしいとわかる温い空気を感じた。
ママはパートに出かけていて、パパは当然お仕事、妹は小学校に行っている。
私はこの家で一人きり。
大きくため息をついてみても誰も心配してくれる人はいない。
3月10日。
本当だったら今日は小学校のお別れ遠足があるはずだったのに。病気にさえならなければ絶対に行けたのにな。
小学校最後のイベントを欠席した私の胸の真ん中は、ぽっかり穴が開いてしまったような気がする。
誰もいないリビングに一人いると虚しさだけが積みあがっていく。
そんな静けさの中で、LINEの音が響いた。私のスマホだ。
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