神様のいじわる

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*  夜になって、窓の向こうで雪が舞い始めた。  私が部屋にいると、玄関のドアチャイムが鳴った。  ママが玄関に出たらしく、「三人とも来てくれたのね」という声が聞こえた。  三人?   私が階段を忍び足で降りていくと、玄関から吹き込んでくる冷たい風を感じた。階段の側から私は玄関を覗き見て様子をうかがう。  玄関には、心桜、由衣、美優が立っていた。寒かったのか三人とも顔が赤かった。 「今朝、舞音ちゃんからコレ預かったんで返しにきました」  ここからは見えなかったが、母が美優から何か小さなものを受け取った。 「これをあの子が?」 「私たち……凛音と……その四人で一緒にいってきました」  私と一緒に行った……? どういう意味?  目を凝らすと母の手に乗っているのは白いリストバンドだとわかった。そして、あれは、私のリストバンドだとわかった。  ミニバスの時、四人でお揃いの色違いのを買った。私のは白だった。あれを妹の舞音が三人に預けていたらしい。  そういえば、LINEに届いていた写真で美優が白いリストバンドを付けていたような気がする。  「」っていうメッセ―ジもあったような気がする。  そうか! あれは私と一緒に行ってくれているって意味だったのか。  あの写真は、三人が楽しそうにしているだけじゃなかった。  あの写真には、ちゃんと私も一緒にいたんだ。  胸の奥が温かくなり、私は階段の隅から足を一歩踏み出した。  この感謝の気持ちを三人に伝えたかった。しかし、私より先に感謝の言葉を伝えた人がいた。 「本当に、三人ともありがとねぇ……。LINE見せてもらったわ。心桜ちゃんも由衣ちゃんも美優ちゃんも……本当にありがとう……本当に何て言えばいいのか……凛音もきっと喜ぶと……」  ママだった。  見てるこっちが恥ずかしくなるぐらいに涙ぐんでいた。  もうママ、やめてよ、と止めにいこうとすると、三人も涙を流していいることに気がついた。 「私たち……ずっと四人だったから……! 凛音と卒業したかったから……!」  大粒の涙を流しながら由衣が言った。 「ああああ」 「凛音ん……」  心桜も美優も顔を覆いながら声を出して泣きはじめた。  なんでみんなそんなに泣いているの? 遠足はこれで最後だったけど、まだ卒業まで何日かあるのに。  それより、由衣は何て言った……?  凛音(わたし)……?
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