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「藤、あのね、あたし……ずっと藤のことが好きだったの」
「は? おまえ、なに冗談――」
「今日からは、あのふたりがあたしの協力者だから。だから、もう藤には協力できない。ごめんね。でも、藤がさっさと葵と付き合いはじめたら、諦めるつもりだったんだよ? これはほんと。だから、いつまでもモタモタしてる藤が悪いんだよ」
笑い飛ばそうとする俺の言葉にかぶせるようにして、月野が言う。
真剣な表情で俺のことを見つめてくる月野に、頭の中が文字通り真っ白になる。
は? なに言ってんだ、こいつ。
月野が、俺のこと好きだって……?
俺と二葉のこと、本気で応援してくれてたよな?
でも、なぜか俺の前で笑う月野の顔しか思いだせなかった。
二葉のことを思い浮かべようとしても……俺の話を聞きながら寂しそうに笑う月野の顔しか思い浮かばない。
なんだよ、これ。
こんなの、まるで……。
「あー……んじゃまあ、とりあえず喫茶店行くか」
そう言う俺に、こくりと小さくうなずいてみせる月野。
「なんだよ。いつもの元気どこ行ったんだよ」
肘で月野の腕を小突くと、
「さすがにフラれたときまで元気でなんかいられないもん。こんなタイミングで言うつもりじゃなかったのに……藤のバカっ」
ぷくっと頬を膨らまして、月野が俺から顔をそむける。
そんな月野を見て、こいつ、カワイイとこあるじゃん、なんて思ってる俺はどうかしてるのか?
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