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留学生
ハイスクールで留学生だという美百合を見た時、ビアンカ・モレロはどこのジュニアハイの生徒が紛れ込んだのだろうと思った。
それがジャパニーズにありがちな童顔なだけで、実は英語がおぼつかないからと、2学年も遅らせて留学してきた、18歳だと知った時、ビアンカは目を見張ったものだ。
「私より2こも上ですって、Really?」
恐ろしきジャパニーズ。
あの年齢詐称技は、魔法のようだ。
おぼつかない語学力のせいか、それとも魔女レベルの童顔を皆が恐れたのか、カフェテリアで美百合はひとりきりで立っていた。
「Hi! あんたが噂の留学生だろ。ビーガンなのかい? それともメニューが読めないのかい?」
声をかけたら、パッと大きな瞳をこちらに向けた。
やっぱり18歳には、絶対に見えない。
「ミユリ・サコタ」
と名乗った留学生は、注文の仕方がわからないのだとビアンカにすがるような眼差しを向けてきた。
とても、庇護欲をそそる顔だ。
ビアンカは親指を外に向けて、
「ここじゃチップス以外まともな食いもんはないよ。外に食いに連れてってやるよ」
美百合を誘った。
近くのハンバーガーショップで、コーラのストローを咥えながら、
「ミユリ、日本人の名前ってのは、呼びにくいねえ」
美百合の様子をうかがう。
美百合は顔ほどの大きさもあるハンバーガーを物珍しそうに眺めるだけで、食べようとしない。
まさか、食べ方もわからないというのだろうか。
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